内容説明
論語は二千年の長きにわたり、日本人の精神と道徳の根幹でありつづけてきた。日本人は論語というたった一冊の書物を通して、人とのつきあい方、正しい生き方を知らず識らずのうちに学んできたのだ。大人になって社会に出、人と人との間で揉まれ苦しむとき、真に役に立つのが論語である。だが、誰もが高校の授業で一度は触れた論語を、年を重ねて読み返したりはしない。三十有余年、慶応高校で論語を講じてきた著者は、「こんなにもったいないことはない」と力説する。孔子は五十代に入ってから名を成した。論語が苦労人ならではの処世術に満ちている所以である。共感できる章句が一つでもあれば、必ずや読む者の助けとなるはずだ。
目次
第1部 孔子のことば(人生の目標;家庭生活;教育と学問 ほか)
第2部 孔子プロファイリング(教育者として;政治家として;家庭人として ほか)
第3部 弟子たちのことば(有若;顔回;子貢 ほか)
著者等紹介
佐久協[サクヤスシ]
1944年、東京都生まれ。慶応義塾大学文学部卒業後、同大学院で中国文学・国文学を専攻。大学院修了後、慶応義塾高校で教職に就き、国語・漢文・中国語などを教える。同校生徒のアンケートで最も人気のある授業をする先生として親しまれてきた。2004年に退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
73
論語をかなり砕けた現代語に訳したもの。なるほど、こうして読むとわかりやすいうえに現代人と何ら変わらない理屈を言っていたのだなと感心した。この先生の授業、笑いが絶えなかったのではないかな。2016/10/21
コウメ
51
論語いいね〜でも著者の語り書き、喋り書きがすこし違和感があった。だよね〜とか、○○なのよ〜○○ね〜とか語尾がくせがあったのが少し残念なので感想だけよ〜💓💓💓💓2019/09/30
ルピナスさん
31
現代の中国語を学んでも漢文を読める訳ではないのですね。娘に漢文を教えてと言われ、一緒に学び直すつもりで手に取りました。各教えについてくだけた現代語訳が来て、原文と読み下しが上下に記載されています。原文を用いて音読してみたかった私は、初めこそ読み下しを隠して挑戦していたものの早々に挫折。ところがこの現代語訳から伺える孔子の人物像が大変魅力的で、グイグイと惹き込まれました。孔子の一人一人の弟子と向き合い対話する姿勢が良いのです。聖典としての遠き存在から、道に迷ったときに読み返したい存在へと距離が縮まりました。2021/04/03
やす
31
再読。論語が、現代的に高校生がよくわかるような感覚で堅苦しくない表現で訳されている本です。論語をよく理解されている先生から、こんな漢文の授業を受けていたら、楽しかっただろうと思います。また、高校生の時に読んでいたら、もっと豊かな人生を歩めたかなとも考えました。「不出来な者が過ちを犯すと、必ず誤魔化かそうとしたり、言い訳をしたりする。」(子張第19-8)をはじめ、大人の戒めとしても大切なものが多いので、これからもしっかり読み込んでいきたいと思いました。2016/12/14
べる
19
社会全体の道徳的向上と社会融和の実現を目標としていた孔子。彼の教育姿勢は自らの長所に気づかせ長所を発展させるよう促すものだったから多くの若者が慕い寄った。「出来ない」と称して努力「しない」ことを繰り返し諫めている言葉が多かった。学問も修養も世の中を変えるためのもの。色々と学び続けて柔軟な思考力を身につけてどっしりとした心構えがあると人を惹き付けられるのは今も確かなことだ。そういう人を見て、自分もそうなりたいとパワーが生まれる。高校生に分かりやすい現代語訳が施されていて、孔子の教えがストレートに胸を突いた。2023/06/21