内容説明
本書は1970年に早稲田大学より内閣総理府に提案された「21世紀の日本のかたち」を繙きながら、かつて「網の目社会」と名付けられ、構想された分権社会の像を、21世紀の現代に投影し検証することにより、その先のわが国の将来像の展望をこころみるものである。それはトレンドを延長するだけの単純な作業ではなく、光や音が異なる媒質へ入る際に境界面で屈折する波を予測するようなきわめて難解な作業でもある。戸沼幸市が投げかけた「網の目社会」への問いかけの波紋は、幾重にも拡大しながらきらめき、時代を超えて伝播しつづけることだろう。
目次
1章 二十一世紀の日本のかたち
2章 網の目世紀の胎動(新しい網の目世紀を迎えて;網の目社会の群像を描く)
3章 いくつもの人間尺度が交差する地球時代―公開シンポジウム「網の目社会をデザインする」より
4章 これからの人間居住
著者等紹介
戸沼幸市[トヌマコウイチ]
早稲田大学理工学部建築学科教授。工学博士。1933年青森生まれ函館育ち。1959年早稲田大学建築学科を卒業。1966年早稲田大学工学研究科博士課程修了「人口集中地区の段階構成とその物的構成に関する研究」にて学位取得。都市計画コース発足とともに助手に嘱任。1972年早稲田大学助教授となり、都市計画系研究室として戸沼研究室を創設。1975~76年ギリシャ・EKISTICSセンター特別研究員。1977年同大学教授となる。1993~2001年早稲田大学専門学校(現早稲田大学芸術学校)校長を兼職。世界居住学会(WSE)副会長、東京都景観審議会会長、新宿区都市計画審議会会長、「地域づくり表彰」審査会委員(国交省)、日本都市計画学会会長他、都市計画系各委員会座長会長を務める。政府総合賞(1972):内閣総理府主催「21世紀の日本」コンペティション、日本建築学会賞論文賞(1983):「人間尺度を基礎とした居住環境計画に関する一連の研究」、日本都市計画学会石川賞(1983):『あづましい未来の津軽』東北建築賞(1988):「中新田町立鳴瀬小学校」
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