内容説明
日本の近代建築の誕生に立ち会った松本與作。その証言には種々の“再発見”がある。
目次
まえがき(五月二十五日;失われたドーム ほか)
その生い立ち(上京のぼんちゃん;造家から建築への頃 ほか)
中央停車場時代(辰野金吾との出会い;日吉町の事務所 ほか)
第一相互館時代(用のある男;日本一の建築家 ほか)
辰野金吾の置土産(嫁取りの話;京都で見合い ほか)
第一生命館時代(有楽町一丁目九番;矢野恒太のメモ ほか)
著者等紹介
伊藤ていじ[イトウテイジ]
1922年岐阜県に生まれる。1945年東京大学第二工学部建築学科卒業。同大学助手、同大学生産技術研究所特別研究員、ワシントン大学客員教授などを経て、1972年工学院大学教授。1975年から1985年まで工学院大学学長。1992年工学院大学名誉教授。文化財保護審議会委員、文化財建造物保存技術協会理事長などを歴任。2007年工学院大学名誉顧問。2010年死去。本名は伊藤鄭爾(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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そんさん
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復元前の東京駅に携わり、その後は第一生命のインハウス建築士として同社の歴史的建物の建設を指揮した松本與作の物語。建築史家の著述だけあり当時の建築界で活躍した人物が数多く登場し消化不良を起こしそうになるが、戦間期の日本近代建築の幕開け、関東大震災や世界恐慌を背景とした当時の世相の中で「いいもの」「きちんとしたもの」を作りたいという建築家の矜持を感じた。また、30代で米国や西欧への渡航を決意した下りも、当時の限られた情報収集手段の中あらゆる伝手を駆使して吸収してやろうという貪欲な探求心が描かれており興味深い。2025/02/01