内容説明
お金とはまったく無縁だったけれど、千年先のことを想いながら、堂々と仕事をした宮大工西岡常一。いまどきの日本人がすっかり忘れかけた、とびっきり骨太の生き方が、ここにある。
目次
薬師寺白鳳伽藍復興奉行所 一九九〇年五月~九月
法隆寺西里 一九九三年十一月
棲蘭山への道 一九九〇年十二月
法隆寺西里 一九九三年十一月
薬師寺への道 一九七〇年五月
薬師寺伽藍 一九九一年四月~七月
木工作業所 一九九〇年十月~十一月
法隆寺西里 一九九三年十二月
木工作業所 一九九一年九月
回廊組み上げ現場 一九九一年十一月~一九九二年五月
法隆寺西里 一九九四年一月
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yori
3
★★★★★ 千三百年前に立てられた法隆寺や薬師寺はその後数百年毎に大改修が行われて来た。西岡棟梁はその時代x2の修理の様子を使用された木や釘跡から推測して行く。それは本当に神業の様に思える。天保までは良い仕事だが、室町や江戸の改修は木の癖を読まなくなっている、と言う。そこまで見抜ける棟梁の手掛けた仕事を生で絶対に見たい‼ 2012/04/08
きぬえもん
1
誤魔化しの生き方に甘んじる私にはただ恐ろしく息苦しく…読み進める毎に四方八方塞がり、でもじわじわ何かが来てる感覚。きーんと張った光が差した様にドキドキしている。小5の時遠足で東大寺南大門に立った時、金剛力士像を目前にした時、突如魅せられたあのファーストインパクトは強烈だった。子供ながら、「木」の躍動感、それを生かす人の技に魅せられたのだ。「昔の人らには敵わんなぁ〜」って思い知らされた瞬間でもあった。昨年公開された「鬼に訊け」は結局観に行けず終いだったが、既に DVDになっているようなので後日。 2013/02/03
白い雲。。
1
西岡棟梁の言葉や眼差しが目に浮かぶ。著者は棟梁を「薫習の人」と呼ぶ。仕事が形として残るなんて、素晴らしいし羨ましい。2012/02/15
rinrinkimkim
0
年末に紀伊国屋書店新宿の宗教コーナーで発見!即買いしまして読みふけりました。師の時世はあったのでしょうか?もしも残されていないとしたならこの映像作品が時世であり次世代への口伝のひとつだったのか?木造建築が残存するのは工法や木だけではないと思うのです。火が怖いわけです。実際法隆寺も出火しています。残るのは奇跡です。その奇跡の力を昭和の大修理で師は継ぎ足してくれたことと信じています。なので奈良の古寺はこの先も立ち続けてくれるでしょう。続いて師の「木に学べ」読書中2016/01/06
牛仮面
0
7月、出張の際に法隆寺を訪ねるつもりだった。西岡常一の仕事として建物を観たいと思ったからである。 予定外の荷物の多さと梅雨空に訪問を諦め、それを後悔していた。だがこの本を読み、これを読んだ後に訪ねることにこそ意味があると思った。 知るは知らぬに勝りけり。 積み重なる刺激が観る目に観るべきものを知らせてくれるはずである。 この本に書き留められた西岡常一の言葉に、他の西岡常一の本に書かれていないことがあるかといえば、たぶん無い。聴いた人の心を通しても、それに大きな違いが生まれているわけでもない。それにも関わ2012/08/03