出版社内容情報
未定
内容説明
嵐で沈没した客船ブラジル丸から奇跡的に救出された船医の井田は、帰国後、酒浸りの無為な日々を送っていた。彼はカフェで出会った謎の青年の依頼で、もう一人の生存者である富豪の相続人・民谷清子を訪ね、殺人事件に巻き込まれてしまう…。二転三転する事件の意外な結末とは?他に「山荘の殺人事件」「隠れた手」を併録。さらに横溝正史のエッセイ「好敵手甲賀・大下」も収録。
著者等紹介
甲賀三郎[コウガサブロウ]
1893(明治26)~1945(昭和20)年。本名・春田能為。滋賀県生まれ。東京帝国大学工学部卒。農商務省臨時窒素研究所に技師として勤務する傍ら探偵小説を精力的に発表。1923(大正12)年、「真珠塔の秘密」でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
26
お話を追うぶんには面白がれるけど展開ぶん回すのが重視されてきっちりした謎解きものではない。昭和1桁の時代の探偵小説ってこういう感じだよね。『盲目の目撃者』草野妙子=民谷清子の謎は魅力あるのに中盤完全に忘れられてない?昔ながらの因果譚っぽい決着。このトリックがアリだったんだ。『山荘の殺人事件』殺人事件の容疑がかかる失踪した夫を心配する妻のサスペンス感をやりたいばかりに夫の行動が訳わからん状態に。『隠れた手』主人公を事件にかかわらせるために偶然を多用するなぁ。ラストは犯人のおしゃべりで何とか終わらせた感じ。2025/01/25
Inzaghico (Etsuko Oshita)
9
語尾が敬体というのが時代を感じさせる。表題作の「盲目の目撃者」は、わたしにしては珍しく犯人の見当がついたが、主人公を助けてるんだか危機に陥れてるんだかわからない、場をひっかき回す緑川という登場人物がアクセントになっていて楽しい。最後の緑川の退場のしかたときたら(苦笑)。「山荘の殺人者」も、昭和のお金持ちの生活(別荘、射撃、ドレスを着た女性招待客など)が虚構感を際立てている。電話線が切断され、雪で孤立した山荘というまたとない設定で、消えた夫の無実を信じる妻……かつての土曜ワイド劇場にありそうなネタ。2024/09/29
Kotaro Nagai
8
甲賀は乱歩と同時期に活躍した作家。表題作(昭和6年)含め3編を収録。表題作は主人公が謎の青年紳士に導かれるまま事件に巻き込まれ、2度目の殺人事件では犯人消失のトリックが描かれる。昭和6年(1931)といえばクイーンが「オランダ靴」、カーは前年「夜歩く」を発表している。甲賀の作品はいい線行っているのでは?謎の青年紳士の緑川が怪盗ルパン的な感じでいい。「山荘の殺人事件」(昭和31年)は拳銃による殺人事件。一市民が拳銃と実弾を所持している。いいのかと調べたら銃刀法は昭和33年の施行。当時は物騒だなと思ったり。2025/05/04
コマンドー者
2
甲賀氏の戦前の中編を3編収録している。今から読むとトリックは他愛のないものばかりだが、小説としてはそれなり今読んでも楽しむことができる。3話目が一番話としては面白いか。2025/03/15
kanamori
2
☆☆☆2025/01/01