出版社内容情報
鬼才半村良が、大胆な推理を元に描く本当の太平記の世界
内容説明
鎌倉時代末期。貨幣経済が少しずつ浸透する中、鎌倉幕府の弱体化を横目に、朝廷は諍いを抱えながらも安閑と過ごしていた。後に『徒然草』で有名になる吉田(卜部)兼好は、官位は上がらない家柄だが持ち前の知性を買われ公家の堀川家に仕えていた。ある日兼好は、風変わりな集団を率いる謎の僧・無名と出会う。無名は世の中を変える「下克上」を唱えて精力的に活動し、それはやがて歴史を一変させる奔流となってゆくが、実はその裏には兼好法師が率いる「影の軍団」の影響があったという…。伝奇ロマンの名手が描く、普通の歴史書には決して載らない、衝撃的な歴史の裏面。
著者等紹介
半村良[ハンムラリョウ]
昭和8年(1933年)、東京都葛飾区に生まれる。高校卒業後、三十近い職業を経験した後、広告代理店に勤務。昭和37年(1962年)「収穫」で第二回SFコンテストに入賞する。翌年、日本SF作家クラブ発足と同時に事務局長に就任。昭和48年(1973年)『産霊山秘録』で泉鏡花賞受賞。昭和50年(1975年)『雨やどり』で第七十二回直木賞を、昭和63年(1988年)『岬一郎の抵抗』で日本SF大賞を受賞するなど、多くの作品を残し、平成14年(2002年)死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Porco
16
某逃げ上手のアニメ観てこの時代を題材にした作品読みたいとなって購入。後醍醐天皇の即位から鎌倉幕府の滅亡までの太平記の記述を元に、『徒然草』の兼好法師と日陰一族なる後世の忍びのような郎党がそれらに関わっていたという、この手のジャンルの第一人者らしい伝奇もの。展開は落ち着いていて話も淡々と進んでいくのが小説というよりは偽史『裏太平記』というものを読んでいるような感覚がした。推測込みだがさらっと書き綴っているせいか嘘と分かっていても話に妙に説得力がある。しかし、小説の体はあまり成していないのでお勧めはできない。2024/10/09
外道皇帝
6
太平記を元にした歴史の裏側を創作したもの。徒然草で有名な兼好法師を軸に、史実に沿ってその裏側で誰が何を画策していたのかを描く。どこまでが事実でどこまでが作者の創作なのか分からない。淡々としているのについ読み進めてしまう。上手いなあ。2025/02/13
スプリント
6
兼好法師が主人公。 史料に残っていない歴史の隙間をうまく拾って裏太平記を構築している。 物語として大きな盛り上がりはないが引き込まれる。2024/10/31
isbm
0
★★2024/10/21