内容説明
「三技氏、われわれはこうして仮りに敵味方と別れていても、うまれは同じ日本人だ。腹からの敵同志ではあるまい。それに拙者はどういうものか貴公が好きでな」西郷隆盛とも通じ討幕派としての存在感をいや増す菊水兵馬。護送中の囚人を兵馬に奪われて以来、若き町奉行所与力・三技伊織は兵馬捕縛へ執念を燃やす。兵馬に従うかまいたちの小平、尊攘派に入り込んだ謎の密偵・狐のほか魅力的な登場人物が織りなす幕末ミステリー。凶盗・からす組や鷹攘夷党の暗躍、西郷の密書をめぐる陰謀―いくつもの事件で構成された連作集。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
明治35年(1902年)、神戸に生まれる。大正期より執筆活動をはじめ、雑誌「新青年」の編集長として活躍。戦後まもなく土俗的な日本の風土に根差した長編本格探偵小説『本陣殺人事件』『蝶々殺人事件』を矢継ぎ早に発表。以後、名探偵金田一耕助を主人公とした『八つ墓村』『獄門島』『犬神家の一族』などの名作群によって、探偵小説界の第一人者となる。「人形佐七捕物帳」シリーズを代表作として時代小説にも健筆を振るった。昭和56年(1981年)死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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