内容説明
飲んだり、食べたり、悩んだり、遊んだり、聞いたり、買ったり、作ったり、探したり、夢見たり、想ったり、旅したり、読んだり、書いたり、笑ったり、考えたり、思い出したり、忘れたり…この星の、この街で書いた、エッセイ集。
目次
遠いところ
「三」の効用
人生は計測である
傷だらけの古机
眼鏡をつくった日
笑うカラス
甘いコーヒー
幸福な時限爆弾
時刻表
身の程
引き出しの奥
天国の探偵
虹の根元を通り過ぎて
台所の時計
もうひとりの自分
涙の理由
逆転ホームラン
喫茶店にて
「夜」の箱
騙されたと思って
よそ見
夜に口笛を吹くと
普段着
まわれ、洗濯機
旅先で読む本
見えないもの
著者等紹介
吉田篤弘[ヨシダアツヒロ]
1962年東京生まれ。作家。小説を執筆するかたわら、クラフト・エヴィング商會名義による著作とデザインの仕事を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
110
吉田さんが訪れたことがない北海道の新聞に連載されたエッセイ集です。吉田さんの作品はどれも肩の力の抜けた感じがよくていつも楽しませてもらっています。このエッセイでも様々な話題をうまく自分のものにされているようです。「甘いコーヒー」や「時刻表」などが印象に残りました。2024/12/10
nico🐬波待ち中
109
吉田さんのエッセイはこれが初めて。吉田さんの経験された実体験よりも妄想話が面白かった。吉田さんの描く物語そのもののようで、その発想がいかにも吉田さんらしい。「天国」は自分の記憶によって創られた世界で「天国」に到着したら探偵を雇って再会したい人(故人)を捜索する話、持ち運べる「夜の鞄」の話、体の中の状態を瞬時に読み取って病気等の警告をしてくれる「ミラー」の話等々、本当にあったら面白いだろうと思わせる、ちょっと不思議でユニークな吉田ワールドに惹き込まれた。いつかこれらの妄想話から新たな物語を創ってほしい。2020/10/24
tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。
103
☆5.0 エッセイとのことだが、創作話といわれてもおかしくない、そんなふんわりとしたお話し。吉田さんは安心して読める。2021/07/09
吉田あや
89
著者のエッセイは、現実に起きている事と脳内で感知し思考している事が混ざり合って、どこか少し重力の軽い涼やかな世界での話を垣間見るようでいて心地いい。水についての話から広がり、生まれてすぐは人間の乳を飲むことが多いのに、なぜ牛の乳を飲むようになるのかと、宇宙人との会話にまで話が伸びゆく〈遠いところ〉が楽しくて大好き。箱を開いただけで、しんと静かな夜が訪れる、ポータブルサイズの〈夜の箱〉も想像するだけで心ときめく。(⇒)2020/08/06
けんとまん1007
84
クラフトエヴイング商会でもある吉田篤弘さんのエッセイ集。吉田さんならではの文章の世界。静かであって、透明感があって、温かさも、ユーモアとウィットもあって、本当に心地よい世界。しかも、文書のページが便箋のようなレイアウトになっていて、うまくマッチしている。どの題材も、おおげさでなく、日常の暮らしの中にあるものだからこそ、伝わってくるものも多い。2021/01/01