内容説明
子供の頃の楽しみは、たまに来る映画であった。当時、続き物にして我々を魅了していたのは、明智小五郎であり怪人二十面相であった。何の刺激も変哲もない自然に囲まれた地に、都会の臭いのする空想とも現実ともつかない世界を見せてくれた。３０年近く過ぎた現在、無意識の中で制作していた私の仕事は、あたかも乱歩氏と共作してのではないかと見違えるほどであり、あの頃に培われた物が原点となっていることに強い驚きを感じる。くしくも乱歩氏没後３０年、私は、氏に今回の装丁画の感想をぜひ聞いてみたい気がする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネロ
9
春陽堂の江戸川乱歩文庫の装丁に使われた多賀新氏による銅版画集です。江戸川乱歩文庫全30巻の表紙の装丁に使用された銅版画が解説とともにまとめられています。鳥とも魚とも獣ともつかぬ奇怪な動物が女の肢体に混ざり合い樹木と絡み合って根となり地中に消えていく…緻密なエッチングで描かれたエロティックでグロテスクな白昼夢の世界は恐ろしくも目をそらせない魅力があります。2012/06/10
なる
4
春陽堂の江戸川乱歩文庫30冊の表紙を飾る奇異な銅版画を集めた画集。春陽堂の文庫は近年リニューアル版が出始めたが、敢えて装丁の好きな旧版で集めているのでなかなかコンプリートできず、先走ってこの画集だけ購入。乱歩の奇妙なエロ・グロ幻想文学との相性は抜群。せっかくだから同じ春陽堂から出している大下宇陀児や甲賀三郎の表紙もやってもらいたかった。2020/03/26
愁
2
以前、この銅版画の装丁の乱歩文庫を集めていました。独特の雰囲気で、作品内容がさらに盛り上がりますね。「パノラマ島奇譚」のジャケ画が特に好きです。
蘇芳
2
この作家に惹かれて江戸川乱歩の単行本を集め出しました。カバーの威力ですね。なんともいえない鬱々とした世界が素敵。2014/08/05
風船
2
江戸川乱歩の小説は、絵画的だと感じていた。作品の雰囲気がとても合っていて素敵だ。2013/11/25
