出版社内容情報
翻訳はめぐる~Translator, Traveler~
翻訳家 兼 大学教員 40年、翻訳書 600冊―金原先生による公開講座!
言葉と文字の当たり前や思い込みを問い直すエッセイ集
翻訳からはじまり、英語、日本語、表記、古辞書、サリンジャーまで…華麗なる脱線
「翻訳なんてものは、言葉を信じていないからこそできるような気がしてならないのだ。だからこそ、言葉で伝えられるものは精一杯伝えたい」
内容説明
翻訳家兼大学教員40年翻訳書600冊。翻訳にはじまり、英語、日本語、表記、古辞書、サリンジャーまで―華麗なる脱線。金原先生の公開講座。
目次
翻訳と言語(翻訳家の悩みは尽きない;支配的な英語、面倒な日本語)
表記と本(縦書きか横書きかって、そんなに重要?;幕末から明治にかけての日本語表記の楽しい混乱;もっと気楽に本、本、本;エッセイ篇 J・D・サリンジャー)
著者等紹介
金原瑞人[カネハラミズヒト]
翻訳家、法政大学教授。1954年岡山県生まれ。1980年代より日本でいち早くヤングアダルト(YA)部門に着目して紹介、翻訳を始める。訳書はモーム、ヘミングウェイ、サリンジャー、ヴォネガットなど600冊を超える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
26
翻訳の金原瑞人による翻訳、英語、日本語の表記と本の歴史などにまつわる様々なことについてのエッセイ集。個人的にはサリンジャーにまつわる部分がとても面白く、良かったです。2022/09/14
Nobu A
16
金原瑞人著書初読と思いきや、以前共著本を読了。22年刊行。翻訳に関するエッセイ集。法政大学社会学部教授兼翻訳家。80年代よりヤングアダルト部門に着眼し翻訳業を始めたとか。それだけに視点が新鮮で柔軟な発想を感じる。翻訳書600冊超には恐れ入る。そして、本人は謙遜しながらも翻訳論だけでなく英語教育もしっかり押さえている点が素晴らしい。やはり寺沢拓敬著「『なんで英語をやるの』の戦後史」と「ひつじ英語教育ブックレット」シリーズは必須。色々と普段思っている事が独り言で聴けて存外面白い。J.D.サリンジャー談義も乙。2024/09/30
shoko
14
英語教師であり翻訳家である著者による翻訳・表記・サリンジャーについてのエッセイ。力の抜けた文章で、読んでいて息抜きになった。/学校教育を終えて、微積ができなくても責められないのに、英語ができなくて責められるのはおかしい。と書いてあり確かに!と思った。英語を愛する著者にとっては、英語が商業的・国際的に幅をきかせるようになって、「英語は装飾も虚飾も、歴史的背景も社会的背景も切り取った、まさに伝達ツール」になったのが寂しいのか、感じると共に、私自身は英語をただの伝達ツールとしか見なしていなかったなと自覚した。2023/10/14
タンタン
7
金原さんのお話は読みやすくて興味深い。翻訳の裏話を聞きながら日本語について考えた!2022/11/14
0sanada0
4
内容は翻訳に限らず多岐にわたる。私は翻訳の話を目当てに買ったので、前半が面白かった。「翻訳は現代語訳で、基本的に既訳より新訳のほうがいい」と言い切るところが良かった。これから訳書を選ぶときの指針としたい。また、日本人学生が英語ができないと責められることに反論してくれていて、金原さんへの好感度がぶち上がってしまった。後半は豆知識が多い印象。私はキャッチャー……の良さが分からなかった人間なので、最後のサリンジャーについての文章は興味深かった。2023/12/21