内容説明
江戸を舞台に、人形のような色男である佐七が繰り広げる推理劇。最初で最後の大全集。全180篇を初めて完全集成。全10巻、ついに登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
定本全集第三巻。今回は今までの駘蕩とした雰囲気とは変わって、生々しいエログロが表面に押し出された作品が多いように感じられる。「坊主斬り貞宗」とか「人面疽若衆」等その最たるものだし。本当にこれ戦中に書いたのかと疑問に思ったが、後に手を入れられている事を知り納得。捕物帳らしからぬ生々しさでした。あと他の作品の焼き直しも多いかな。自分がわかったのは「血屋敷」と「蝙蝠屋敷」だけだが、解題によるとほとんどらしいし。ただ名探偵不在の前者、現代物の後者と比べると佐七が主人公は、また違った趣が感じられこれはこれで良し。2021/01/01
くさてる
18
人形のようにいい男だから「人形佐七」な捕物帳。今巻も面白く読みましたが、かなりエログロ色が濃くて、ちょっと驚きました。戦時中に書いたのにもびっくりですが、いまのご時世ではアウトだろうという内容もあり、でもそこに横溝正史らしさもうかがえました。安心して読めるマンネリ感と意外な謎解き、愛着があるキャラクターたち、という要素がとても好みです。2021/07/25