内容説明
青雲の志を抱いて江戸へ上ったものの、またたく間に武士の魂までも手放すはめとなってしまい、今宵の仮寝を結ぶ場所を求めて当処なく御茶ノ水辺をさまよっていた武蔵国岩槻の浪人赤貝小太郎の前に、貴公子然とした紫紺頭巾の一人の武士が現われた!腰の差料は天下の名刀、粟田口綱光!新刀の試し斬りと察して小太郎は私を覚悟するが、件の武士はおのれのものと小太郎の竹光、継ぎ接きだらけのいかにも尾羽打ち枯らした風の単衣とを交換してくれと迫るのだった!?止むなく要求に応じた小太郎の問いに、蛍飛太郎と名を告げて立ち去ったが、その跡を尾ける都々逸三平という男があった!?はて…!?―武蔵国岩槻藩二万三千石、大岡家をめぐる駆動にからむ謎の紫紺頭巾の正体とは。