内容説明
向島桜土堤を一挺のお忍び駕籠が行く。お高祖頭巾の女が駕籠を守っていた。その女が持っている提灯の紋所は“上り藤”、老中安藤対馬守のものであった。突如として六人の黒頭巾が現れ、その首領新田義十郎が駕籠に乗せられていた女を刺殺した。粋な唐棧に博多の帯、一見遊び人風体の隼の銀次が出現し、殺された女の懐から紙入れを抜きとった。女の正体を知るためであった。その銀次の前にやせ細った浪人が現れた。人斬り源三郎と異名をとる怪浪人であった。町芸者駒千代姐さんは銀次に惚れていたが、あおい浪人こと松平又三郎を見て銀次と瓜二つなのに驚かされた。―夜の帝王の命令で動く黒装束の一団を相手に、若ぎみ又三郎颯爽の活躍は…。