内容説明
先頭のシャーマン戦車が池田準尉の前を通っていく。池田はその戦車を撃ちたくなる衝動を押えて、真ん中の戦車にロタ砲(和製バズーカ砲)の照準を合わせ続けた。突然、爆発音が響きわたる。先頭の戦車が平木隊のあらかじめ仕掛けていた地雷に触れたのだ。平木大尉が叫ぶ。「準尉、今だ、テー!」池田はロタ砲の引き金を絞る。途端に、濛々たる煙につつまれた。砲弾は煙を引きながら、敵の戦車に吸い込まれていった。池田の放った砲弾は、シャーマン戦車の側面、砲塔の真下に命中した。砲弾の炸薬が燃焼して発生した熱流によって戦車の装甲に穴を穿ち、戦車内部に流入した。オライリーら搭乗員たちは何が起こったかわからないまま焼き殺されてしまった。