内容説明
徳川御三家の一つ,水戸家初代藩主は大御所家康公の第十一男に生まれた頼房であった。その水戸家の奥女中に上がった谷左馬介の娘が頼房の寵愛を受けて、5年前に京都の公卿滋野井中納言の下で男子を産んだ。それが頼房の第一子竹丸(後の讃州高松藩主松平頼重)であったが、いまふたたび懐妊して家臣三木仁兵衛之次の屋敷で、仁兵衛や妻牟佐の手厚い看護を受けて第二子千代松を産んだ。そして、従三位右近衛中将光圀とその名も代わった13歳の千代松は、将軍家光の命を受けた中山備前守信吉と、向島水戸家下屋敷で会見した。信吉の目に、千代松の英資は水戸家の世子にふさわしいものに映った。―ご存じ、“天下の副将軍”水戸黄門、その若き日日の行状を描く雄編。