内容説明
隠密老中と称される、老中筆頭松平越中守定信の密命を受けて、東海道は府中の宿に姿を現したのは、江戸は深川米沢町に住まいする“若さま”岩佐又兵衛と、それに付き従う新陰流の達人跡部左衛門と、その妹の里枝、園井新十郎、それに弥五七らの一行であった。里枝は、府中で偶然に出会った友のおそでが泊った旅籠『柏屋』を訪ねたのだが、おそでとその夫の幸吉、それに父親の江戸の絵草紙屋丸屋才造の三人が、何者かに斬殺される、という奇怪な事件が発生していた。丸屋才造が、枕屏風の中から取り出し、宿の天井に隠していた秘密文書とは、馬医者平楽の日記という不思議な書きものであった…。事件の背後に秘匿された陰謀に、若さまとその配下の面々は敢然と立ち向かった。



