内容説明
平均律クラヴィーア曲集、プレリュードとフーガの万華鏡。純正を含む美しい響きを求めて、バッハ演奏自由自在。いま、音律と調べを考える。
目次
第1章 バッハへのアプローチ―「等分」か「不等分」か(大きなバッハ―フーガ芸術を理解するために;音律の考え方 ほか)
第2章 “WTC”の調性格と移調をめぐって―バッハの意図したこと(バロックの考え方;マッテゾンの調性格論 ほか)
第3章 読譜の練習―昨今ピアノ教育事情(ある少女の話;階名と音名 ほか)
第4章 やわらかなバッハ―バッハ演奏、自由自在(自由な発想で臨む;柔軟な視点―“WTC”の曲順と組合せ ほか)
著者等紹介
橋本絹代[ハシモトキヌヨ]
山口県出身。イコール式音楽研究所所長。大阪音楽大学(ピアノ専攻)、モーツァルテウム国立音楽大学オルフ研究所で学ぶ。音楽教室主催、ヤマハピアノ教室、県児童センター、音楽セミナー各講師、県学生音楽コンクール審査委員、ピアニスト、教会聖歌隊指揮者及びオルガン奏者の経験を通して、相対音感を大切にする「イコール式」を提唱(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
27
調性格論にロマンを感じる人が多い中で、「等分平均律においては調性は全く意味がない」と主張するのは勇気がいるが、こと鍵盤楽器に関する限り、著者の主張は全く正しいと思う。調律への無関心、固定ド読み、絶対音感などに対する批判や、「内的聴覚」の大切さなど、音楽教育者としての著者の姿勢にも敬意を表したい。ただ、バッハの平均律を例にした執拗な説明で「すべての調はハ長調とイ短調の移調に過ぎない」ことを納得しても、ショパンの魅力である変ニ長調や変イ長調を忘れることはできない。当時の音律を、もう一度勉強しなくてはと思う。2019/08/16
Sachi
11
ピアノを弾く人、特にピアノしか楽器をされてこなかった方におすすめの本です。バッハの意図した音律、調律議論に始まり、平均律クラヴィーア曲集の成立の話、特によく使われる調で作曲されたのち移調された可能性の話とか面白い話もたくさん。絶対音感教育についての項も印象的です。古典やロマン派の時代の作曲家は調性を意図して作曲しており現在の平均律で調律されたピアノの響きとは違う音楽を奏でていたはず。調はピッチと無関係に存在していたはずですが、絶対音感者にならい固定ドで歌うようになるにつれ調とピッチを同一視する傾向が強く2015/05/15
alba
0
昔自分が習った先生が出された本。バッハとありますが、平均律について多く書かれています。そこここに先生のバッハ愛が見えていて個人的にほっこりしました。