出版社内容情報
ベートーヴェン晩年の「異化された大作」(アドルノ)である《ミサ・ソレムニス》。教会音楽の形式を持ちながらもしばしば“非典礼的”とされてきた本作品の受容史を通じて、19世紀ドイツの「芸術」と「宗教」と「教会」の複雑な関係性を浮き彫りにする。
内容説明
“非典礼的な教会音楽”の受容史。ベートーヴェン晩年の「異化された大作」(アドルノ)であり、既存の枠組みを大きく越え出た異形の教会音楽“ミサ・ソレムニス”は、キリスト教の自明性が問われていた19世紀のドイツにおいて、どのように捉えられてきたのか。宗派や立場の異なる批評家たちの言説をひもとくことで、音楽における「芸術」、「宗教」そして「教会」の複雑に入り組んだ関係性を浮き彫りにする。
目次
序論 「楽聖」の「問題作」
第1部 プロテスタントによる“ミサ・ソレムニス”論(新時代の宗教音楽としての“ミサ・ソレムニス”;ベートーヴェンの「神秘主義」的教会音楽;「フモリスト」ベートーヴェンの教会音楽)
第2部 カトリックによる“ミサ・ソレムニス”論(“未来のドラマ”としての“ミサ・ソレムニス”;“ミサ・ソレムニス”の弁証学;「教会音楽」と「宗教音楽」;音楽における「教会的」とは何か)
結論 典礼と芸術
著者等紹介
清水康宏[シミズヤスヒロ]
1981年群馬県太田市に生まれる。2020年東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。現在、群馬県立女子大学ほか非常勤講師。賀茂神社(群馬県桐生市)太々神楽神楽師。専門は、美学・音楽学・宗教学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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