内容説明
大震災から10年を経て、被災地支援に活躍した傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」、その伝説のマスターが、いま大震災のすべてを語る。われわれはどう生きたのか。そして原発という文明に突きつけられた問い。“震災”の嵐はいつもどこでも吹いている。
目次
第1章 崩壊の中で(震災前;岡部健先生との出会い ほか)
第2章 生と死と(永平寺へ―修行の旅立ち;折り紙 ほか)
第3章 再生(不思議な仏―お地蔵様物語;メガネをかけた善人地蔵―悲しみの共有 ほか)
第4章 復興へ(不安と安心のある場所;ふたたびカフェデモンク@仙台 ほか)
そしてその後―あとがきに代えて
著者等紹介
金田諦應[カネタタイオウ]
1956年、宮城県栗原市生まれ。駒澤大学仏教学部卒業。同大学院修士課程修了。曹洞宗・通大寺住職。傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」主宰。日本臨床宗教師会副会長。日本スピリチュアルケア学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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99trough99
18
東日本大震災をきっかけに、被災者の心に寄り添う宗教者としての活動「カフェ・デ・モンク」を始めた金田諦應さんがその後の10年間を振り返る好著。隅々まで大変深い示唆に富む内容で、時間の取れる週末に噛みしめるよう1ヶ月半かけて読了。 10回もつぶやいてしまいました。しかし、一番圧巻だったのは、金田さんが鬱状態に陥ってしまい、そこから抜け出すべくもがく下り。宗教者も一人の人とはいえ、修練のレベルが違うこうした方々にとっても、人の抱える悲しみと取り組むことが困難であることがひしひし伝わってきた。2021/04/17
Yuka
4
家族や大切な人を目の前で失い、やり場のない想いを解消することを教育も政治も医療もできなくて、宗教という超越したものの存在だから乗り越えられるものもあるのかもしれない。 家族の死の意味は問い続けても答えは出なくって、それがまた苦しみだったのだろうと、本を通して様々な方の想いに触れて涙なしには読めなかった。宗教のもつスピリチュアルな力や、デジタルの時代だけど改めて人と人の繋がりや温もりというものの大切さを考える内容でした◎2021/03/11
後藤良平
3
筆者のことは、ロンドンタイムス日本支局長パリー氏の著作で知った。読みたいと思っていた本が、図書館再開後の訪問で見つかるとは、この本に出てくる多くの不思議な霊的な話に通じるものがあって、印象深い。自殺防止活動にも協力していた筆者が、震災の年の四月から始めた、傾聴移動喫茶「カフェ・デ・モンク」で、多くの被災者の心が救われた。やっぱり体験していない私などには入っていけない世界だと思うが、傾聴という姿勢の重要性は再認識した。雨ニモマケズは、現場に行けという意味があるとも、初めて知った。年間No.64榴岡図書館2021/05/31
yokkoishotaro
1
先に読んだ「震災と死者」で、東日本大震災であった大量死を客観的にとらえることができたが、本書は人が大量死とどのように向き合ってきたかをとらえることができた。10年前確かに多くの人が一度に亡くなったんだ、と再認識した。2021/04/14