出版社内容情報
朝鮮半島や満州からの引揚者が語った戦後世代が学校で教わらなかった真実。70年代生れの著者があの時代と向合ったノンフィクション
【著者紹介】
1970年生まれ。ノンフィクションライター。著書に『僕の見た「大日本帝国」』(角川文庫)、『誰も国境を知らない』(朝日文庫)、『ニッポンの国境』(光文社新書)、『ニッポンの穴紀行』(光文社)などがある。
内容説明
僕の見た「引き揚げの時代」朝鮮半島、満州からの引き揚げ者が語った、僕らが学校で教わらなかった真実とは―。70年生まれの著者が、あの時代を“今この瞬間”へと繋ぐ渾身のノンフィクション。
目次
出会い
明暗を分ける
移民の時代
移住
桜、榎、そして海軍
つかの間の平和
戦争前夜
「オナジ日本人ジャナイカ」朝鮮人と日本人
産業に湧く街
戦いが始まる
動員と空襲
召集
それぞれの終戦記念日
引き揚げの明暗―朝鮮南部
始まらない戦後―朝鮮北部と満州
敗戦の故郷で生きのびる
ふるさとはどこに
著者等紹介
西牟田靖[ニシムタヤスシ]
1970年生まれ。ノンフィクションライター(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カツ
3
何ともシュールなタイトルだが、つまりは元日本領土から敗戦後引き揚げてきた人達のインタビュー本。敗戦後、朝鮮北部と満洲は中国ではなくソ連軍が支配していたとは。しかも極悪非道の数々。敗戦間際に火事場泥棒のように参戦するしとんでもない国だと思う。引き揚げ者総数が当時の人口の一割だったというのも凄い。そりゃあ食品不足になるわな。2020/02/28
Yasutaka Nishimoto
2
著者が言うように、引揚者を含む個人・家族のそれぞれの生き方を統合したものが、戦後の日本の歴史なのだろう。7年の歳月をかけたという本書には、数人の(または数十人の)個々の人生が描かれているし、またそれ以上のものでは無い。過去の戦争の記憶は、著者と同年代の自分達ぐらいの世代が「又聞き」としてギリギリでは無いかと常々思ってはいたが、その傾向は今後ますます拍車がかかるわけで、何かの形で自分自身にもとどめたいなぁと感じさせる一冊だった。2016/05/05
lop
1
せっかくの貴重な内容が、構成と文章がダメすぎて残念すぎる。これではただの取材日記にしかならないし、感想の言葉の語彙が乏しくて学生の書いた文のようでした。とはいえ、満州や朝鮮などで生活していた方の戦前戦時戦後の帰国が書かれ、当時の生の体験は貴重でした。2016/05/29
hiratax
0
オーラルヒストリーとしては貴重である。釜山近くの港町、鎮海から引き上げてきた日本人の証言録。大戦末期、朝鮮半島を素通りして九州を爆撃する戦闘機が飛んでいった、といった土地にまつわる話が出てくる。終戦時に、中高生だった人たちは、戦争へは行っていないが戦争を体験している。この世代の話はまだまだ取れると思う。2014/02/27
在我壷中
0
44歳の著者には政治色無く日韓を戦後を「引き上げ者」を『日本國から来た日本人』と描き出してくれた。私の生まれ育った島には神社の境内に隣接して『引き揚げ者住宅』と小学校の校舎と同じ規模の建物を記憶するのです。城下町の我が家から数百㍍の距離に、友達も居た、確かに貧しかったのだろう。しかし『李承晩ライン』に父親を拿捕された家族も、友達もいた。書かれる『日本國』の人達を側に観ながら育って来たのだろう。読みながら側にいた友達の親達には此処へ紹介される様な想いの中へ在ったのかと。複雑な想いに『日韓の歴史』を真の歴史を2014/02/18