出版社内容情報
繁栄のさなかに拡がる虚無感は、何に由来しているのか。スポーツ,セックス,出会い,そして死といった現代的な課題を取り上げ,“生きる意味”という光の回復を訴える。
内容説明
繁栄のさなかに広がる虚無感、セックス、スポーツ、出会い、そして死―。現代人の荒涼とした精神に“生きる意味”という光の回復を訴える“逆境の心理学”フランクルの熱いメッセージ。
目次
1 意味への叫び
2 意味への意志
3 生きる意味
4 決定論とヒューマニズム―汎決定論批判
5 出会い(エンカウンター)論―“人間性”心理学は本当に人間的か?
6 セックスの非人間化
7 症状か治療法か?―精神科医が見る現代文学
8 スポーツ―現代の禁欲主義
9 はかなさと、死すべき運命―存在論的エッセイ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コージー
66
★★★★★精神科医であり心理学者でもあるヴィクトール・フランクル。現代の若者が抱える、人生に対しての虚無感やさみしさを解き明かす、逆境の心理学書。『人生の意味を問う前に人生から意味を問われている』フランクルの残したこの言葉の意味が、少しずつわかってきた気がする。【印象的な言葉】①幸せを目指せば目指すほど、私たちは幸せをつかみそこなう。②幸せは結果として得られるものであって、追い求めて得られるものではないのである。通り過ぎただけの過去は、もう過ぎ去ってしまった。けれど、生き抜かれた過去は、やってくる。2018/10/19
NICKNAME
26
先日「夜と霧」を読み、同じ著者によるこの本を直ぐに購入し読んだ。生きることについての著者の意見が語られている。一部専門的で難しいところはあったが、著者よりのありがたい大事なメッセージは確かに伝わってきました。自分の言葉で簡潔に言うと「人生とは結局自分次第」であるということかと思う。意味を外から求めるものではなく、意味づけをするのは自分自身。「夜の霧」と並びこの本は蔵書にする。読み返すごとに新たな発見があると思う。次回の再読が楽しみである。またこの著者の他の本も読んでゆきたいです。2018/12/05
Uncle.Tom
22
(再読)自分自身が歩んできた軌跡。自らの過去は他の誰にも壊すことはできない。それ故に過去は不変であり、また永遠である。そして、未来は自らの決断による選択によって無限に開かれている。つまり、今、自分自身が決断し行動を起こすことにより、自分自身の成し遂げたもの、軌跡がのちに残っていくのである。そういった意味で捉えれば、人生には必ず意味があると言えるのでしょう。現代では自分自身の人生に対して肯定的に捉えられない傾向があります。しかし、自らの軌跡は永遠に存在し続けるのだとすると、生きる意味が湧いてくると思います。2019/06/22
Uncle.Tom
21
人生に意味なんてあるのか。 自分自身の存在意義は?そんな考えが頭から離れないことがよくあります。時折人生の虚しさが襲ってきてぼんやりとした感情を抱く時があります。ちょっと自分はおかしいのではないかと思うこともありましたが、フランクル先生のおかげで気持ちが楽になりました。実存的空虚。このなんともいえない感情に名前がつくことは何よりも気持ちが楽になります。まさに今の自分にマッチした一冊だったと言えます。そしてさらに勇気付けられたのは、実存的空虚、それを感じられることこそ人間存在そのものなのだという言葉です。2019/06/21
テツ
16
『夜と霧』の著者フランクル。ユダヤ人であるために大戦中に強制収容所に送られ、その中で家族を全て失った彼が語るからこそ、人生に意味を見出すということについて読者も背筋を伸ばして向き合える。生きていく上でどんな悲劇が襲ってくるのかは誰にも解らない。何もかもを失い絶望する瞬間もあるのかもしれない。それでも人間にはそうしたイベントに対してどのような態度で対峙するのかを決める自由がある。「あなたが人生を諦めても、人生はあなたを諦めることはない」忘れることなく日々を積み重ねていきたい。2022/05/08