内容説明
世間が作り出す同調圧力に侵食される家族。“私”なき国家の家族のありようを徹底解明。
目次
第1部 日本型家族の誕生―近代家族の史的変遷(「世間」とは何か―日本人を縛るルール;「私」なき国の近代家族―「いえ」とは何か;商品化される家族―家族の「解体」という言説)
第2部 「世間」に侵食される日本の家族―今日的状況の考察(妻をなぜ「ママ」とよぶのか―恋愛関係論;増殖する母性愛―親子関係論;親の謝罪は必要か―加害者家族論;忘却は除夜の鐘とともに―年中行事論)
著者等紹介
佐藤直樹[サトウナオキ]
1951年、宮城県生まれ。九州工業大学大学院教授。九州大学大学院博士課程修了。専攻は刑事法学、世間学、現象学。1999年「日本世間学会」創立時に、初代代表幹事として参画(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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M
6
内容はわかりやすいが、あまりに問題の単純化がすぎるのではないだろうか。中世の婚姻関係に欧米社会と日本社会の分化の淵源を見出しているが、ヨーロッパ中世は宗教の時代であり、宗教戦争も頻繁に繰り広げられた不安定な社会ではなかったのか。そこから融和を図るための啓蒙から市民社会なるものが出来たとしても、欧米の格差とアメリカの現状を見た時に浮かび上がるのは勝者と敗者の区分の徹底とその競争によって生み出された負のエネルギーの矛先を他者やその他の国に押し付けているだけで、社会としても成熟したものといえるのかと疑問に思った2021/01/13
さぼてん
1
目に見えない世間というものにいかに縛られいるか、よく分かりました。世間と出先機関である家庭、という言い方が印象的でした。成人した子供の不祥事を親が謝る…、言われてみればおかしな事かもしれません。この価値観は、作者が言うように、簡単には変わることは無いかもしれません。どんどんグローバル化が進んでいけば変わるのでしょうか? でも、治安の良さや秩序立った社会は、居心地が良く、住みやすい一面もあるのではないか、と思います。2022/05/23
Tom
1
「いえ」は世間の出先機関。欧米のように犯罪を犯した身内を庇いまくるのもどうかと思うが、日本で犯罪や不祥事を起こした人間の身内に対するバッシングは異常だよな。夫婦が互いのことを「パパ」「ママ」呼びするのは気持ち悪い。だから日本人夫婦はセックスレスになりやすいんだと思う。「親」に性欲は抱かないから。結婚式の○○家も変だ。現代はほとんど個人同士による恋愛結婚なのに、家が出しゃばる意味がわからない。特に嫁は家父長制度に取り込まれるだけだぞ。そういうことに結婚式やってる本人達は気づいてないんだろうけど。2022/01/13