出版社内容情報
家族や友だちと話しあいたくなる24のテーマを盛り込んだ、森岡流「倫理の教科書」。
33個めの石とは・・・・・・
2007年、バージニア工科大学で乱射事件が起きた。学内には、犠牲者を悼む32個の石が置かれたが、人知れず石を加えた学生がいた。33個めの石。それは自殺した犯人の追悼である。石はだれかに持ち去られた。その学生はすぐに新しい石を置いた。それもまた、持ち去られた。すると、別のだれかが新しい石を置いた。
内容説明
自殺、死刑制度、脳科学、環境問題、宗教の功罪、ジェンダー。現代の「痛みと希望」について思索した、魂のしずくのようなエッセイ。
目次
赦すということ
自殺について
33個めの石
恐怖を消す薬
脳と幸福
「人道的」な戦争
子どものいのち
人間と自然
パンドラの箱を開けるロボット
差別と偏見
英国帝国主義
ナショナリズム
監視カメラ
「君が代」と起立
男らしさ、女らしさ
おしゃれと化粧
中絶について
不老不死は幸せか
故郷
都市の本性
異邦人である私
加害と被害
哲学とは
エピローグ―33個めの石、ふたたび
著者等紹介
森岡正博[モリオカマサヒロ]
1958年生まれ。哲学者。大阪府立大学人間社会学部教授。人間学・現代倫理学などを担当。研究テーマは、生命学・哲学・科学論。従来の客観的な学問の枠組を超えて、自らを棚上げすることなく果敢かつオリジナルな思索を展開、人文学の領域を大きく押し広げる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
森
13
図書館で借りました。重い話しも割と軽やかに論じており好感が持てます。多少絵空事のような未来予測も記載されていますが、絵空事ですまないのが現実、またこんな世の中で希望を探している姿勢がよいのです。2014/08/14
ruki5894
11
8年前に読んだ時とは、明らかに感想が違っていた。日本人は無信仰なのだろうか?全ての主題に偏見と差別を感じてしまった。こうやって繰り返し繰り返し読んでいくべき本なのかもしれない。2017/10/10
ruki5894
10
4年ぶりの再読。こんなに軽かったかしら…?と思った。それは多分自分が成長したのではなく、この4年の間に、何度もこの本のことを思い出したからなのではないだろうか…。大きな震災。悲しいニュース。怒りを覚える事件。そんな時とこかでこの本を思い出していたのかもしれない。2013/09/13
きなこ
7
考えるためのエッセンスが詰まったエッセイ。あえて深く突き詰めることなく、余地を残しているだけに、さらっと読み終えることもできる。けど、そういう読み方をしたらもったいない気がする本。ある出来事について、ひとつの視点だけでなく、別の視点が示唆されていて、考えるヒントが与えられる。2017/01/03
まあい
5
全面的に波長の合う本ではないが、だからこそ考えることを後押ししてくれる一冊。(引用)「もし私自身が認知症になったとき、認知症の私は、自分の人生にどのような価値を見いだすのだろうか。価値を判断する主体である『私』自身が、明晰さを失って、崩れかけているときに、世界はどのような相貌をもって私の前に現れるのだろうか。」「近代哲学は、問いを発する私自身が崩れはじめたときの『私』というものを、扱うことができない。」(p175)2016/05/31