内容説明
近代の黎明期、“自己”と“超越”に格闘した同時代の思想家―清沢・西田・和辻・三木ら―との重なりにおいてその内的理路を剔り出す。
目次
はじめに 漱石はどのように「思想」したか
第1章 「型」喪失の時代を生きるモラリスト―思想家・夏目漱石の誕生
第2章 文芸の哲学的基礎―漱石はどのような「近代」的地平を切りひらいたか
第3章 思想小説として読む後期作品の世界―「小さな自然」から「大きな自然」へ
第4章 明治思想史のなかの「則天去私」―内在的超越の思想
第5章 「自己超越」をめぐる哲学論理―清沢満之の遺したもの
付論1 清沢満之と漱石の思想圏―明治思想界の「わが信念」
付論2 「自己/超越」の系譜―三木清の「まごころ」
おわりに 縁に随って生きる―いま・ここの「私」を、不可知の展望に委ねること
著者等紹介
長谷川徹[ハセガワトオル]
1978年、神奈川県横浜市生まれ。専修大学大学院文学研究科博士後期課程(哲学専攻)修了。博士(哲学)。専修大学文学部助教などを経て、同大学文学部哲学科および青山学院大学文学部比較芸術学科講師。専門は日本倫理思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんちゃん
2
「則天去私」という言葉については見覚えがあったが、どのような意味なのかは考えたことがなかった。また、漱石といえば「こころ」と「吾輩は…」の印象が強く、陰鬱なのか、ユーモラスなのか、真剣なのか、斜に構えているのか、つかみきれない作者でもあった。本書では、当時の思想状況の中で、近代的自己に出会い、それを超克/解脱しようとした漱石の思想的歩みに焦点を当てている。2022/04/17
すはまっこ
0
考える観点をたくさんもらった宝箱みたいな本だった。 ・バフチンと漱石 ・「生きなければならないように生きる」という在り方について ・ケアにおける「受容」がもつ則天去私性 ・漱石における仏教とキリスト教 その他、論を進める観点として導入されていたものを応用できそうメモ ・シテによる鎮魂の物語から見るアニメ「平家物語」 ・ジェームズ「多元的宇宙」とスパイダーバース ・ベルクソンの時間論から見る始祖の巨人2022/04/11
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