内容説明
創作や伝承にまみれた既存のイメージを排し、聖書を忠実に読み解くとき現出するキリスト教の死後の真実。復活、最後の審判、天国での体、天国での言葉―様々な疑問に正面から取り組み、人間に開示されるぎりぎりの神秘を老練の牧師が描きだす。
目次
第1章 死(死は人の定め;聖書の「死の教え」;イエス・キリストは小羊のように血を流して死んだ;イエス・キリストは死者の世界(陰府)に行った)
第2章 天国(イエス・キリストは復活し、人類は一変した;人の復活;イエスの「神の国」の教え;神の性質)
第3章 地上に生きる(死ぬまで生きる;イエスのように生きる;葬式は生者のため)
著者等紹介
鈴木崇巨[スズキタカヒロ]
1942年三重県生まれ。東京神学大学修士課程修了、米国南部メソジスト大学卒(修士)、西部アメリカン・バプテスト神学大学卒(博士)。日本キリスト教団東舞鶴教会、田浦教会、米国合同メソジスト教団ホイットニー記念教会、銀座教会、頌栄教会、聖隷クリストファー大学で牧師として働き隠退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
84
「聖書の」というタイトルがポイントだ。死や天国に関して、世俗に塗れた言説を排し、聖書の記述に基いて厳密に定義しようと試みる。「死の根本原因は原罪、死に至らしめる力は悪魔」「イエスの陰府降下の意味を強調すること」「十字架の死、復活、昇天、精霊降臨を一連の出来事とすること」など、著者の考えは福音派に近いと思える。「天国」として曖昧に語られる概念を、①生きている人の心の中にできる神の国、②死後の神の国、③新天新地の神の国の3つに区分するなど、組織神学的な著者の厳しい姿勢に、教えられることの多い一冊だった。2021/12/27
みじんこ
7
天使と悪魔の働きや千年王国、最後の審判等名前だけは流布しているワードも説明され学びが多かった。霊(神の息)と魂は別であるという点、確かに日本的宗教観とは異なる点だと思う。人には分からないという面も多く、新天新地の神の国へ入れる救いはあるのか確信は持てないが、著者の言うように放蕩息子の逸話等も思い出し、憐れみ深い神の御手に委ねるしかないのかもしれない。聖書は「生者のための書物」であることも語られ、結局死ぬからという消極的考えではなく、ヤコブの手紙の「あれもこれもやってみよう」という姿勢は心に留めておきたい。2024/03/03