内容説明
『橋のない川』から『老子』『老子変化経』等を読み解きながら、後に老子が宇宙の根元たる「道」と同一視され、さらに神格化されていく過程を解明。
目次
第1章 谷神は死なず(『老子』と道教;『老子』を読む;しいたげられたものの思想)
第2章 関を出る(『史記』老子伝を読む;自由の境地へ)
第3章 天地に先立つ者(「老子銘」を読む;信仰への歩み)
第4章 危険な神(『老子変化経』を読む;誰のために?;抵抗と挫折;「道」を実現するもの)
著者等紹介
菊地章太[キクチノリタカ]
1959年、横浜市生まれ。筑波大学大学院を中退後、フランスのトゥールーズ神学大学に留学し、カトリック神学をまなぶ。1992年に韓国へ行き、仏教や道教に関心をいだく。現在は、比較宗教学の視点から東アジアの終末思想について研究している。現職は桜花学園大学人文学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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R
22
道教における老子のあり方を解説した本でした。そもそもの老子をちゃんと読んでいないけども、孔子をはじめとした儒者に対するカウンターの位置にあったようだと理解できて楽しかった。老子が唱えた道と徳のあり方の解説と、老子そのものがどう存在したか、変遷を辿りながら教義とも呼べる哲学思想に及んで興味深い内容。老子が宇宙にたゆたう気の集合体であるという解釈というか、解説に衝撃を受けました。老子、何者なんだ。2017/11/11
えふのらん
3
老子が道教に取り入れられ神格化された過程を前漢から魏晋南北朝時代までの文献を探りながら解明した本。司馬遷の史記までそれほどでもなかった老子への敬意が後漢の老子銘で一点し不老長寿で天を操る(惑星の軌道を操る)存在になってしまう。実は神仙思想との合流でしかないのだが、これが老子の是以聖人、後其身而身先、外其身而身存への注釈から生まれたというのだから面白い。”無為自然”で生きればよい、と言っているのに、そのように生きれば超人的能力が得られるという教えに転化してしまっている。2024/09/11
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