出版社内容情報
著者独自の原典批判的研究にもとづき,古い資料によって,最初期の仏教の思想を探求。体系化される以前の素朴な教えは,ブッダの根本精神をそのまま反映したものである。
内容説明
仏教聖典の最古層に示される思想を原典批判研究によって解明し、原典をして語らしめ、歴史的人物としてのゴータマ・ブッダの思想に肉薄する。
目次
序編 最初期の仏教における三つの発展段階(諸宗教に対する批判―名目的容認と実質的転換;道であることの表明;教義をまとめる)
第1編 基本的立場(もろもろの形而上学説の対立に関する立場;部分的真理性;宥和的性格;普遍的性格;教説の実践的性格)
第2編 人間存在の反省(人間を見つめる;苦しみ;欲望;無常;自己の探求―無我説;慈悲)
第3編 理想の境地(輪廻とその超克;理想の境地;生死の超越;ニルヴァーナ;現実のうちに生きる;解脱についての問題;天の世界)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう
0
仏教を学び始めて感じたモヤモヤは、「専門用語の意味が統一されていない」ということ。本書を読んでその疑問が晴れた。そもそも原始仏典それ自体が、ブッダの死後から長い時間がたったのちにつくられたもの。また、時代時代によって、その都度、改変され、新しい用語が生まれたり、新たな解釈が生まれたりした。仏教の用語の統一感がないのもそうした背景があることがわかった。 難解だったが、入門書では見れない景色を見れた。☆3つ ※読んだのは「中村元選集〈第13巻〉原始仏教の思想 上」ですが、おそらくこれと同じ内容と思われる。2022/01/25