出版社内容情報
東日本大震災後の公共と宗教の議論が見落としたのは、天皇制のような公私を包摂する法外な「謎めいた他者」の主体への影響である。村上春樹やオウム以降の宗教学、戦後民主主義を批評することで、公共空間を考察する。著者の宗教学に関する最後の日本語論集。
内容説明
オウム真理教事件、東日本大震災を経て、問われる公共と宗教の問題。だが、その議論は宗教がどう公益に資するかの議論に終始しがちだった。精神分析、ポストコロニアル思想、フランス現代思想を経由することで、公共宗教論において抑圧された他者を回帰させる“他者性の宗教学”論集。
目次
序章 批評行為とは何か―宗教概念論から公共宗教論、そして謎めいた他者論へ
第1章 公共宗教論―天皇・国民・賎民
第2章 酒井直樹の翻訳論―謎めいた死者のまなざし、そしてざわめく声
第3章 タラル・アサドの翻訳不能論―ポストコロニアル研究の遺産
第4章 出雲神話論―祀られざる神の行方
第5章 村上春樹論―民主主義社会と隠された暴力
著者等紹介
磯前順一[イソマエジュンイチ]
1961年茨城県生まれ。静岡大学人文学部日本史・考古学専攻卒業。東京大学大学院人文科学研究科宗教学専攻博士課程中退。文学博士(東京大学)。国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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