出版社内容情報
まどか☆マギカやプリキュアの華麗な変身。でも魔法使いサリーは変身していなかった。「らき☆すた」のかがみとつかさ、ラブライブの希など巫女が多いのはなぜ? アニメ・マンガに溢れる宗教表象とその変遷をたどり、現代文化と宗教性の絡みあいを解く。
内容説明
アニメやマンガにあふれる神秘は何に由来し、人々のどんな心性に訴えるのか。昔懐かしい作品から大ヒットした近年の作品までを多数分析し、現代人と宗教の繊細な関係と変容を考察する。
目次
序章
第1章 魔法少女はなぜ変身するのか(魔法少女の発生と展開「魔法使いサリー」;魔法による変身は何をもたらすのか「ひみつのアッコちゃん」;戦闘美少女と魔法「セーラームーン」と「プリキュア」;「魔法少女まどか☆マギカ」の衝撃)
第2章 巫女と神社(ポップカルチャーのなかの神道;「らき☆すた」と聖地巡礼;ポップカルチャーのなかの宗教)
第3章 異界と転生(異界、他界、異世界;人々は転生に何を見るのか?)
終章
著者等紹介
石井研士[イシイケンジ]
1954年、東京に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科宗教学・宗教史学専攻博士課程単位取得満期退学。東京大学文学部助手、文化庁宗務課専門職員を歴任。現在、國學院大學神道文化学部教授。博士(宗教学)。専門は宗教学・宗教社会学、研究テーマは現代社会と宗教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
48
日本の漫画やアニメにおいて宗教がどのように受容されているのかを「魔法少女」を切り口として分析している。「魔法少女」を関する作品でありながら意外と「魔法」を前面に取り上げていない点などは興味深く感じた。現代日本のように世俗化した社会では年中行事や通過儀礼などの宗教儀礼が失われてきているが、そのために宗教がポップカルチャーの一種として取り上げられている側面もあるだろう。ブリキュアシリーズのように1年間続く作品の中でしか年中行事が語られない時代なのかもしれない。2023/01/18
なっぱaaua
46
アニメや漫画というポップカルチャーに宗教がどう表象されているのかを考察したもの。魔法少女、巫女と神社、異界と転生というテーマを基に宗教との関わりを問いている。とはいってもアニメや漫画を観る人たちが宗教チックであるかといえば、あまりそういう事は想定されていない。寧ろ在るがままを受け入れている土壌がポップカルチャー上はあるのだという。魔法使いサリー、ひみつのアッコちゃん、セーラームーン、まどか☆マギカ、らきすた、ドラゴンボール、鬼灯の冷徹、火の鳥他有名なアニメや漫画を用いて考察する。~続く~2022/08/16
PAO
21
「終わりの見えない魔法少女の戦いは自分の人生が投影された姿である」…《魔法少女》と謳っておきながら全体の三割しか触れておらず、しかもその半分は『魔法使いサリー』と『秘密のアッコちゃん』関連というのはかなり的外れだと思いました。『まど☆マギ』からの魔法少女物の展開をもっと触れてほしかったですね。またマンガアニメにおいて宗教は主人公たちを異端視し迫害するか真実を隠蔽し悪用する存在として描かれることが多く日本人の宗教への不信を表していてそれが救いだと思うのですが、その辺の分析もあまりされていないのも残念でした。2022/09/14
Arisaku_0225
20
アニメや漫画によく見られる「魔法少女」や「転生」、「異界」といった設定は読者(ファン)にどのような影響を与えたのかを宗教学という視点でメスを入れた本。この本では『魔法使いサリー』や『まどマギ(略称)』など人気作やブームとなった作品を例に挙げながら、「魔法(少女)」「巫女と神社」「異界、異世界」などの項目に分けながら作品内に見られる宗教的断片を考察していく。そして、終章では、現代日本における宗教の「危うさ」(消えていくという意味)とそれに反比例して増えるポップカルチャーでの宗教性の増加は、宗教が文化の根幹→2022/11/08
kenitirokikuti
13
国文の人がまどマギを読む新書を前に読んだのだけど、違うひとだった。この著者は國學院の宗教学の60台の先生だ。テレビの中に現れる宗教の表象を見るというもの。実生活上では宗教儀礼は薄くなっているが、アニメ作品の中ではむしろ増えている。ほか、作品内の話ではなく、実際の既存宗教のイメージを探るという調査も載っていた。調査開始の1999年から、神道のイメージが強くなっている。これは物語の世界でもそうだな。2023/04/16