出版社内容情報
当時“不治の業病”として恐れられたライ者の友として己がいのちを捧げつくしたまことの司祭・岩下壮一の面影を,盲目の老患者の証言を通して生き生きと描く感動の力作!
内容説明
社会からも家族からも未来からも閉ざされた人々が、いかに生きる希望を見出したか。“不治の病い”に呻吟するライ者の友となって己がいのちを捧げたまことの司祭、岩下壮一の面影を、盲目の老患者の証言を通して生き生きと描く感動の力作。
目次
暁闇
転生
葛藤
絶望
光よ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
13
入所者同士の恋愛の禁止は、自らに課した聖職者の独身主義の押しつけだったかもしれないが、国立療養所での、断種手術と引き換えの恋愛の容認と比べたらどちらが非人間的か。特効薬開発前の手さぐりの闇で、岩下神父も悩みぬいた末の決断だっただろう。差別され追放されて、日々少しずつ崩れてゆく肉体の苦痛、失明の恐怖と絶望に直面するハンセン病患者に寄り添い、「あなたは美しい人になることができる」ためらうことなく手を取り、文字通り闇を歩く人々を照らす光となり入所者から「おやじ」と慕われた。癩病人と食事を共にするイエスのように。2015/05/03
トッシー
0
今滞在しているブラジルでお世話になっている日系人の神父様が「よかったら読んでみて。既にご存知かもしれないが」と貸してくださった本。岩下壮一神父についても神山復生病院についても全く知らず、ハンセン病についても、教会で話を聞くことはあっても、自分から積極的に知ろうとはしなかった。神父様にこの本を渡された時は、ずいぶん古い本だし、あまり興味ないかもと、正直気が進まなかったのだが、最初の数ページを読んだら止まらなくなってしまった。胸がしめつけられるような話で、最後のほうは涙がとまらず。自分の無知と無関心を恥じた。2016/11/23
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- 和書
- となり町戦争 集英社文庫