内容説明
ノースカロライナ州の大農園主のひとり息子フレッチャー・ランドールが北部のニュージャージー大学(現在のプリンストン大学)に入学して、クエーカー教徒の学友の感化を受け、黒人奴隷解放運動のための秘密組織「地下鉄道」と「ヴィジランス・コミッティ」の献身的活動に接し、煩悶の末にそれまで抱いていた差別意識を克服し、進んでその組織に加入する。そして自分の周囲の黒人奴隷の逃亡を助けようとしたために、1855年のクリスマス・イブの夜、ついに悲劇的な運命におちいる…、大ベストセラー『ルーツ』の著者アレックス・ヘイリーが、再び日本の読者に贈る感動の名篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kesera
1
1855年。南北戦争に向けて内部崩壊への助走がはじまったころ。南部の大農園主の一人息子フレッチャーは、北部の著名な大学に進学し、優秀な成績を修めていたが、孤独を募らせていた。そんなときに、クエーカーの兄弟と友人となり、彼らの故郷フィラデルフィアを訪れることになる。そこで見聞きし、体験したことは、自分のこれまでの価値観を根底から揺るがすようなものだった。もっとその先を読ませて!と言いたいラストですが、短いながらも主人公の葛藤の描き方がとても良く、若いときにこういう魂を揺さぶられる体験をしてみたかった。2025/10/09