横山源之助全集〈第1巻〉社会・労働(1)

横山源之助全集〈第1巻〉社会・労働(1)

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  • サイズ A5判/ページ数 519p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784390502016
  • NDC分類 081.6
  • Cコード C0336

出版社内容情報

この人は明治時代の日本が生んだ最も驚くべきもの書きの一人である。毎日新聞記者からルポ作家となり、日本のルポルタージュの祖といわれる……。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』363頁、より)

広く社会学・経済学・文学に及ぶ全業績を収録、初の本格的全集!
民俗学を創始した柳田国男、民芸の発見者柳宗悦に並び称される横山源之助の全貌!

 都市貧民、職人、小作人など明治中期の庶民の実態や社会世相・風物を克明に描いた代表作『日本之下層社会』を始め、実態調査にもとづく、今日でいう"ルポルタージュ"の手法を駆使した著作は、近代日本社会創生期の歴史の証言としても、価値ある第一級の資料となろう。

 横山源之助の著作は、経済学、社会学、文学など多岐にわたり膨大であるが、しかしこれらの作品のほとんどは現在、入手が難しい。
 本全集によって、「知られざる横山源之助」の新たな全貌を浮き彫りにする。
 百一年前の一八九九(明治三十二)年、二十九歳の新聞記者・横山源之助は『日本之下層社会』を著して、真正面から貧困の問題に取り組んだ。 時代は日清戦争と日露戦争との間、東アジアの小さな島国が武力で世界の舞台に登場した頃である。この時期、日本国内では労働運動が動き始めていた。

 横山は時代の変化を鋭く読み取り、貧困の原因を社会体制の欠陥と認識した。その一方、一九一〇(同四十三)年に「明治富豪の史的解剖」を世に問い、日本の近代化の過程で、多数派の貧乏人とは対照的に、一握りの富裕層がどのように形成されたか解明している。

 本全集の編集方針
◆本全集は、横山源之助の全業績、すなわち現在までに発見された、新聞・雑誌に掲載の全作品と書下しの単行本を収録する。
◆全体を「社会・労働」「富豪史」「殖民」「文学」および「別巻」に分類し、作品を年代順に配列する。
◆『海外活動之日本人』を除き、作品はすべて初出に拠る。
◆単行本に寄せられた他者による「序」も収録する。

 編者のことば
 横山源之助は「明治」という変革期における、すぐれた社会観察者であった。彼の業績はひろく社会学、経済学、文学に及ぶ。 しかし、初期労働事情を詳述した古典『日本之下層社会』(明治三十二)以外、明治・大正初期の紙誌に発表された価値高い五百数十篇にのぼる作品は、今日まったく顧みられていない。

 横山源之助が再評価されねばならぬ理由は多々ある。日清、日露戦争下における、その大衆的非戦記録。明治期労働運動に果たした貢献。『日本之下層社会』成立前後、周辺の作品。そしてその後の下層社会、労働事情、中産階級、上流階級、都市、犯罪、殖民、明治裏面史、文学等にかかわる研究。──『明治富豪の史的解剖(彼等は如何にして富豪となりしか)』(明治四十三)後の集中的富豪研究は、確立期における日本資本主義構造史のはじめての綜合的研究であったろう。

 横山源之助は下積みのものの人間的開花のため生きた、不世出の民間研究家であった。学問と人間愛の渾然。業績の豊饒。それは他に例をみない貴重な価値である。おそらくは、近代社会学上における横山源之助の位置は、民俗学を創始した柳田国男、民芸の発見者柳宗悦になぞらえることができるだろう。
 二〇〇〇年三月    立花雄一

 横山源之助(よこやまげんのすけ)略歴
 横山源之助は一八七一(明治四)年、富山県魚津に生まれた。
左官職横山家養子となり、
一八八五(明治十八)年上京。英吉利(イギリス)法律学校(中央大学の前身)に学ぶが、弁護士試験に重ねて失敗。二葉亭四迷に師事。内田魯庵(ろあん)、嵯峨(さが)の屋御室(やおむろ)、松原岩五郎、樋口一葉らと交流。
一八九四(同二十七)年、日清戦争下毎日新聞記者となり、非戦記録作家として出発。
一八九七(同三十)年、高野房太郎、片山潜らと労働運動をおこす。
一八九九(同三十二)年『日本之下層社会』『内地雑居後之日本』。
一九〇〇(同三十三)年、「職工事情」(農商務省)調査参加。
一九〇一(同三十四)年、大井憲太郎と大日本労働団体聯合本部をおこす。
一九〇三(同三十六)年以後、文筆に専念。
一九〇四(同三十七)年、日露戦争下、非戦的底辺ルポ数篇。戦後、殖民問題に傾注。
一九一〇(同四十三)年、富豪史の研究に没頭。
一九一二(同四十五)年、ブラジル殖民事情調査。膨大かつマルチな業績を遺し、
一九一五(大正四)年六月死去。ルポルタージュの祖と称せられている。

※ 目次その他は『横山源之助全集』社会思想社ホームページをご覧下さい。
http://www.shakaishisou.co.jp/

目次

青年会館講演
戦争と地方労役者
十二月九日の東京
王子メリヤス製造会社
孤女学院
養育院
我国の感化事業
社会の観察
職工徒弟学校
女子授産場を紹介す〔ほか〕

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