出版社内容情報
破防法反対に結集した弁護士・文化人らの棄却決定まで活動全記録。膨大な資料が示す恐るべき破防法の全容。
序 奥平康弘(国際基督教大学教授)
たとえ不倶戴天(ふぐたいてん)の集団、オウム真理教に対してであろうと、その解散のため破防法を使うのは、「暴挙」であった。しかし政府・公安調査庁はあえてこれに踏み切った。圧倒的多数の国民が支持するのが見込めたからである。「破防法適用はおかしい、それは間違っている」と主張することは、絶対的に不人気なオウムに味方することと同視される運命にあったから、心ある人たちも沈黙した。
こうした中ふつうの意味では何にひとつ得することのない、そしてまったく未開拓の分野に属する法律事件をあえて引き受ける弁護士を見出すのは、きわめてむずかしかったにちがいない。本書には、そのたいへんむずかしい仕事をあえて引き受け、万人の「権利のための闘い」という大義に向けて全力投球した、内藤、芳永両弁護士をはじめとした四名の「代理人」の手記が収められている。
まえがき
1995年12月、時の政府がオウム真理教に対する破防法の適用を了承したことによって、わが国に歴史上はじめての試練が襲うこととなった。基本的人権と民主主義という憲法の根本的価値を揺すぶる嵐の真っ只中に、間もなく私たちは代理人・立会人として立つことになる。
以来一年余り、真実が真実として通用するのか否か、胸の締め付けられるような日々が続いた。……
ここにわが国初の破防法団体適用事件の全容を明らかにすることができ、私たちは、破防法に対して闘った方々への報告の責任を果たしえたと思っている。破防法適用に反対し、これを阻止したすべての皆さんに感謝するとともに、この本がこれからの闘いに少しでも役に立つことがあれば幸いである。……
編著者代表 内藤 隆・芳永克彦
目 次
代理人
オウム破防法棄却決定の意義と限界……内藤 隆
破防法との闘い400日……芳永克彦
破防法代理人雑感……清井礼司
私の「アンダーグラウンド」……李 宇海
立会人
八割と八割の間で……佐高 信
好奇心から「立会人」を引き受けて……小沢遼子
「居場所」を奪う破防法の適用を許すな!……福田雅章
弁明手続きに立ち会って……芦澤 齊
第6回弁明期日―全体の総括も含めて……浅野健一
資料1
破防法関係年表
弁明期日開始の官報告示
接見等禁止一部解除決定
公安審査委員会委員名簿
破防活動防止法(条文)
資料2
第1~6回弁明期日調書(抄本)
公安調査庁が提示した証拠の実態
公安審査委員会に対する処分請求の官報報告
処分請求に対する代理人らの意見書(目次)
意見陳述期日に提出した代理人らの意見書(目次)
意見陳述期日調書(抄本)
公安審査委員会の決定
請求棄却決定に対する弁護団声明
目次
代理人(オウム破防法棄却決定の意義と限界;破防法との闘い400日 ほか)
立会人(8割と8割の間で;好奇心から「立会人」を引き受けて ほか)
資料(破防法関係年表;弁明期日開始の官報告示 ほか)