内容説明
霧の濃い夜、16歳のイアンは家を出た。優秀な生徒だった彼は、ある出来事を境に不良仲間に入り、急に金回りが良くなり、挙げ句の果ての出奔だった。姉は単なる家出と考えていたが警察に。ニコルソン警部と姉の捜査から家族の秘密・不良仲間との関係・学校での出来事・轢き逃げ事故など様々な手がかりが出てくるが。彼に何が起こったのか、生死は…。そして姉が襲撃される。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
bapaksejahtera
11
「そして医師も死す」で失望した後のディヴァイン。舞台はスコットランド・グラスゴー近郊の小都市。主人公ニコルソン警部の許に若い女が失踪した弟の捜査を依頼に訪れる。優秀な高校生であった弟はある時を機に不良少年たちと交わるようになりついに家出の挙に出たようだが杳としてその後が知れぬ。捜査の中で少年は養子である事を知ったことが切掛で家族と急な不仲になったらしい。更に彼の家族の異様な姿が明らかになるというスタート。登場人物の描写が細やか無理な性格設定がなく、無駄な饒舌がない進行でスムーズに読み進み意外な結末に驚く。2022/09/10
elf51@禅-NEKOMETAL
9
入手かなり困難本。倒産した社会思想社で出版され絶版状態。D・M・ディヴァインは巧い人で,この作品も誰がやったのか?怪しい人物が次々と出てきてなかなか絞らせない。失踪した弟は殺されたのか?の謎も続く。原題は「彼が約束した日」の意だが,水曜日に決まって起こっている事柄がキーになっているので,そこに着目すると面白い謎になっているのに気付く。狭い人間関係の中,人物の性格の書き分けもきっちりしている。主人公があまりに「お嬢さん」で空回りしているような。初期は結末はこんな感じか,という。犯人の意外性はありいいと思う。2021/03/25
ジュンジュン
9
家出した少年の行方を、姉と警部の視点で追う。著者お得意の人間関係内に犯人を隠しきる。犯人には意表を突かれて面白かったけど、何冊か親しんだためか、人物像の掘り下げに物足りなさを感じてしまった。2020/08/12
koo
8
再読。高校生が失踪し姉と事件を追う警部の2視点から交互にストーリーが描かれます。再読し改めて巧みなミスディレクションに感心しました。初読時楽しめなかったのは「兄の殺人者」「五番目のコード」後の出版だったので勝手にクラシカルフーダニットを期待したこと、真犯人の行動理念が納得出来ないことが挙げられますが作品構成はディヴァインらしさが充分表れてますし終盤の展開が「災厄の紳士」に似ていることも減点にはならないと思いますし再読して良かったです。(笑)創元もロイストンはともかくこの作品だけでも復刊して欲しいですね。2022/07/29
ヨッシー
4
評価★★★★☆2025/02/22
-
- 和書
- 本朝美少年録