内容説明
ケルト的な妖精伝説がフランス中世の歴史と渾然となった壮大な妖精ロマン。美しい妖精メリュジーヌと人間の男レモンダンは、泉のほとりの運命的出会いの後に結婚、十人の子どもをもうけるが、夫は、タブーを破り、妻の下半身が蛇になった姿を見てしまう。別れの日、月の晩に妖精の姿にもどったメリュジーヌは、城から飛び去っていった―。が、子どもたちにも数奇な運命が待っていた。…これは、ポアトゥ地方にあった、リュジニャン城とその一族の物語である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
20
人は生まれつき知ることを欲するというアリストテレスの引用で始まる物語が、土曜日ごとに姿を消す妻の正体を覗き見たために身の破滅を招く、すべてを知ろうとしたものの悲劇に終わる皮肉。夫エロスの正体を見たために引き離されるプシュケの神話を思い出した。もしかしたら人はすべてを知ろうとしないほうが幸福なのかもしれない。自然の神秘を知り尽くそうとした近代科学がいま人類を存亡の危機に陥れているように。森の奥深くの泉のほとりでの謎の女メリュジーヌとの出会いはメリザンドの物語にそっくりで、そういえば名前まで似ている。2019/01/20
活字スキー
15
FFVに登場したシリーズ屈指のセクシーキャラ、メリュジーヌの物語は典型的な異類婚姻譚としてふんわりとした概要しか知らなかったが、去年の古本まつりでちょうど良さそうな本を見かけたので読んでみることに。ローカル伝承を史実や当時の権力者の意向等に添うようにまとめたものという意味で、ブリテンにおけるアーサー王物語と非常によく似ている。やってる事はめちゃくちゃなくせに「とりあえず神と騎士道を振りかざしておけばいいんでしょ」なノリも同様。予想はついてたけど、FFのキャラは外見の蛇要素以外は全然関係ないぜ。2022/04/09
ウタマキ・コウ
0
ふつうならメリュジーヌが去ったところで物語が終わりそうなものだけどと思っていたら、そういう理由があったわけですね。2012/03/03
