内容説明
歌と端書きなどを拠りどころに、〈小町像〉に迫る、歴史ミステリの先駆的傑作。
目次
(1) 小町の出身
(2) 男に対する小町の態度
(3) 小町と恋
(4) 小町の恋人の本体
(5) 百夜通の真相
(6) 小町と深草御門
(7) 小町と藤原族
(8) 山里の侘住居
(9) 雨乞いと歌争い
(10) 小町集と小大君集
(11) 寺参りと僧正遍昭
(12) 老境と文屋康秀
(13) 枯尾花の下の白骨
(14) 種々の伝説に就て
(15) 千古の淑媛
(16) くさぐさの思い出
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miyuki
1
史書にみえない小野小町について、その正体を暴こうとした本。 元は貞女、小町を取り上げて、女性を啓蒙しようという意図で書かれた本らしい。 そういう意図とは別に、近代の「科学的」な分析によって、歌集の歌などが分析されていく様はおもしろい。謡曲や後世の像など、現代人なら小町と思わないものも、説明し、取捨選択して、小町と結びつけたり、あるいは迷信だと言い切っているところの違いがなんなのかよくわからないのはご愛嬌だが、少なくとも現代の唯物的歴史観ばりばりの本よりはずっと文学的で、読み物として面白く仕上がっている。2020/04/04