内容説明
ひとりの老婦人が神戸港に降り立った。アフリカの小さな島からの、半世紀を経た帰国だった。なぜ彼女はそこに行き着いたのか。日本近代と重なるようにその足跡をのばし、国策に翻弄され打ち捨てられた「からゆきさん」を追ったドキュメント。
目次
第1章 私的観光案内
第2章 娘子軍の航跡
第3章 ジャパニーズ・バー追跡
第4章 ザンジバルの影
第5章 からゆきさん群像
第6章 戦後の孤独
第7章 ある自画像
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めりこ
2
著者の想いが強すぎて、全体的にやや置いてけぼりになる感はあるけれど、その執着により(執筆時点より)半世紀前のひとりのからゆきさんの像が次第に見えてくる。単純に第一大戦に前後して、多くの女性が娼婦として海外に売られていったという事実に驚いたし、世界中にちらばり、そこで生きた彼女たちの人生を思い、なんとも言えない気持ちになった。また、ザンジバルで著者の調査に応じる人々の親切なこと。山と山は出会わないが人と人は出会う。本書にあった言葉。あらためてそうだなぁと思う。2019/06/28
noznoz
2
明治時代に女性が売られ、アジアで、そして、なんとアフリカで娼婦となっていたとは。 全く知らなかった哀しい史実だが、そんな目にあっても、生き抜く彼女たちのたくましさ、生命力の強さにもっとも驚いた。2018/08/29
鼻毛カッター
1
残存資料がごく少ないため、著書がごくわずかな縁を頼りにザンジバルの人々を訪ね歩く奇妙な旅行記とも思える。遠く果ての地にまで流れついて、その後の、戦争、革命と激動の時代をそこで過ごした女性の心情はまったく想像もつかない。わずかな救いがあったとすれば、大手商船会社が戦前は仕事を与えたこと、戦後になって救援を求める手紙を受け取るとカンパを出し合って帰国活動したことくらいだろうか2010/07/16
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