内容説明
五年前に殺された女性の幽霊が、毎週ポートベロー通りに現れて殺人者に話しかける。その姿や声は、つれの妻には見えず聞こえない…。(「ポートベロー通り」)現実と幻想、過去と現在が縦横に交錯した超自然の世界をモチーフとした、幻想的な短編11作品を収録、ミステリアスなファンタジーの世界へ読者を誘う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
116
英国を代表する作家の一人ミューリエル・スパークの幻想ホラー寄りの短編集。風変わりで独創的な作品ばかりで非常に面白かった。上品な語り口の中にブラックユーモアが閃き、ぞっとした気持ちになることが多い。暗闇で見知らぬ人に顔を撫でられたような感じになる恐ろしい作品もあった。「落ち葉掃き」が一番好きな作品。こんな幽霊物語は読んだことがない。クリスマスのホラー小説の中で一番変わっているかもしれない。主人公が始める「クリスマス反対十字軍」の屈折したユーモアに笑ってしまった。落ち葉を掃く彼の箒の音が耳から離れなくなる。2018/05/23
藤月はな(灯れ松明の火)
30
桜庭一樹さんのエッセーで紹介されていて早川書房の異色作家短篇集でも作風が好きだと感じた作家の幻想作品集。幻想小説ばかりとはいってもオーヴンに入れる前の菓子に針を仕込んで一緒に焼き上げたものを人が食すのを内心、興味と悪意でほくそ笑みながら待っているような、妙にざらざらする心地のものばかり。それなのに『遺言執行人』、『落ち葉掃き』、『詩人の家』、表題作がなぜか好き。ただ、文末が過去形ばかり利用する訳が文章特有のリズムの欠片もなくて最悪・・・orz2013/10/15
星落秋風五丈原
23
イギリスの女流作家短編集。現代教養文庫。五年前に殺された女性の幽霊が、毎週ポートベロー通りに現れて殺人者に話しかける。その姿や声は、つれの妻には見えず聞こえない…。(「ポートベロー通り」)現実と幻想、過去と現在が縦横に交錯した超自然の世界をモ1990/08/04
りつこ
16
長年探し続けてきた短編ポートベロー通りをようやく読めた。学生時代の自分がなぜこの物語に魅了され、あれはなんだったんだろうかと気になり続けていたのか、こうして読み終わってもよくわからない。しかし子ども時代からの友だち、押し付けられた秘密、そして殺されて漂い続ける自分。この独特の世界が私をとらえて離さなかったのだなと思うと感慨深い。残念だったのは翻訳が…。スパークはほとんどが絶版。新訳で出してくれないかなぁ。2013/03/19
sattin
3
シュールすぎてちょっとついてけないところが。筋が分かりにくいなあ・・。2013/07/07
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- 和書
- 人びとの旅路 新潮文庫