内容説明
明治17年11月、群馬、長野からの参加者を含む蜂起農民約1万は秩父大宮郷を占拠し、明治専制政府に対する「無政の郷(コミューン)」を現出させたが、鎮台兵、警官隊との戦闘に破れ、佐久への転換後、八ケ岳山麓野辺山原に潰滅した。本書は、秩父騒動あるいは暴徒の名のもとに抹殺されてきた秩父困民党蜂起の全貌を多重音声的に描き、歴史評価を新たな次元に引きあげた労作。
目次
総理・田代栄助
血盟のオルグたち―落合寅市・坂本宗作・高岸善吉
風布の人びと
神官と信徒たち
佐久の同盟者―菊地貫平・井出為吉を中心に
学務委員と教師たち―新井周三郎を中心に
悲劇の組織者・小柏常次郎
群馬からの助ッ人―新井寅吉・貞吉父子を中心に
秩父の谷間の女たち
国内亡命の道―井上伝蔵の生涯