感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
猫丸
13
第三篇747句。語の背後に控える意味空間は同時代内では常識であっても、時間経過により急激に消滅してしまう。本篇には「綿摘み」が頻出する。綿摘みの弟子とは真綿を伸ばす作業を習う女性のことだそうで、多くは嫁入り前の少女であるがゆえに師匠との間に不適切な関係が生じやすかったという。江戸民衆の脳裏には「綿」の一語でこれらの事情が瞬時に浮かんだものらしい。こういうのは書物の上でしか出会えないが、何度も類句に当たると少しずつ実感が伴うような気がする。藪入りの喜びや、雪の日の遊郭での居続け、物売りとの値交渉なども。2021/04/22
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- 和書
- 交戦規則ROE 徳間文庫