感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
12
[2016/8/23-10/27]まさか自分がこの作品を読むことになるなんて思いもよらなかった。内容はまさに心理的な迷宮遊び。チャカポコチャカポコと読み進めると幾つもの読みの範型が現れる、と共にウッスリと別様な範型が現れるので初見だとポンチキポンチキポンチキチといった塩梅。要するにある読解仕方を採用してもその眼鏡の強度を維持できないような作品。その感覚を主人公と共に体感してく脳髄地獄。ぼくの読書歴からいえば『虚無への供物』が似たような読後感だったかな。素晴らしいことに、読後すぐ二周目を読みたい自分がいる。2016/10/27
まぁ
8
私は何を読んだのか。推理小説かというと首を捻るんですがでは怪奇や幻想かというとそれもよくわからないんですよね。起きた事件としてはある日目覚めた記憶喪失の青年が殺人事件の犯人なのか、旧家の呪いを紐解いていくのか、と謎を追うんですが、こんな謎は瑣末なことで謎は自分自身が何者なのかということに終始したのかもしれません。とりあえず、自分の思考が信じられなくなったらそれこそ怖いことはないと思います。2024/12/29
aax74370
8
★★★★☆ 嫁からのお奨め本でしたが、古臭い文章と分厚さの為に、長期間 放置しておりましたww 日本三大奇書と言われる名作だけあって、読み応え充分な内容でした。途中、漢文体の所で挫折しそうになりましたが、後半は一気読み出来ました。昭和初期の作品とは思えない位、斬新で衝撃的な内容でした。映画「ハンニバル」「リング」なんかもこの作品を参考にしたんじゃないかと思うような斬新的な内容でした。狂人、精神病院、死体崇拝、殺人、呪いの巻物 などなど 一般的にタブー視される事柄が盛りだくさんで、読んでて気が変になりそうで2012/08/01
Chako@(旧名:かど =^ェ^=)
5
読み終えてこれはどういう事だろうと疑問が際限なく沸き起こる。回答を得るべく、作中の「脳髄は考えるところに非ず」通りに全身の細胞で以て思考するが能わず。所感を書こうにも、ただ五里霧中に陥り容易には形にできなかった。これ迄読んできた本や観てきた映画などからヒントを探り本質に迫ろうとするが、それはこういう類いの物だろうと分類して型に嵌めようとしてるだけだ。三大奇書·アンチミステリーであることを思い知る。さて、本書は生物学に関する予言を孕んでるしこれ迄に多様な解釈がなされてきた。 つづく☟2018/08/18
シロクマとーちゃん
5
幻想小説だと思って読み始めたが、徐々に推理小説らしいことがわかってくる。難解と言われているだけあって、かなり、ややこしい話。途中、手記だとか、祭文だとか、論文だとか、事情聴取の記録だとか、中国の伝承だとかが挿入されていて、文体もいろいろだ。しかし、この小説の魅力は文章のリズムだろうと思った。どの文体も軽快なリズムに乗せて、書かれている。実験的小説だと思うが、文章のうまさに舌を巻かれた。2015/04/30