出版社内容情報
堀越 孝一[ホリコシ コウイチ]
著・文・その他
内容説明
ジャンヌ・ダルクが「救国の聖女」の極印を打たれてすでに久しい。この通貨はいまだに有効で、なにか動乱があって女性が登場すると、すぐさまジャーナリズムは「現代のジャンヌ=ダルク」をうんぬんする。これも確かに「ひとりのジャンヌ=ダルク」ではあろう。だが、神格化された人々のアスピレーションのむかう対象となったジャンヌ=ダルクの陰に、「もうひとりのジャンヌ=ダルク」がいる。同時代人はジャンヌ=ダルクをヴァロワ王権の味方、教会にそむく異端の少女としか見なかった。本書は、その時代の生身のジャンヌ=ダルクを追い求めた、ユニークなジャンヌ=ダルク伝である。
目次
1 噂の娘(イメージのジャンヌ;オルレアンの攻防)
2 百年戦争後半の幕あけ(王権横領;党派の争い;分裂するフランス王国)
3 ジャンヌ現代史(オルレアンへ;一四二〇年代;北征)
4 ルーアンのジャンヌ(コンピエーニュの悲歌;裁かれるジャンヌ)
著者等紹介
堀越孝一[ホリコシコウイチ]
1933年、東京に生まれる。東京大学文学部西洋史学科で歴史を学び、同大学大学院人文科学研究科で堀米庸三先生の指導を受ける。専門は西洋中世史。茨城大学、学習院大学、日本大学をはじめ、多くの大学、大学院で教鞭をとる。学習院大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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k5
55
ジャンヌシリーズ。これまで追っかけてきたレジーヌ・ベルヌー先生にはすこし冷ややかですが、それでもジャンヌの魅力は感じられる日本の権威の一冊。面白かったのは彼女の活躍の背景となる政治的な思惑がしっかり書かれていることですかね。とくにブルゴーニュの背景史が豊かです。2021/12/25
ジュンジュン
6
「ジャンヌダルクの百年戦争」というより、「百年戦争”と”ジャンヌダルク」の感じ。百年戦争後期の展開のなかに、ジャンヌの行動と意義を位置づける。そこには救国の聖女ではなく、周囲に翻弄される少女の姿しかなかった。2020/08/14
卯月
4
ジャンヌの出番は約半分、ジャンヌ個人の人生や業績を詳しく知りたい場合は他書へ。本書は、ジャンヌ出現に至るまでの百年戦争後半の歴史、特にブルゴーニュ家に詳しい。オルレアン派と、ブルゴーニュ派の間の勢力争いだけでなく。シャルル五世が整備した王家の金庫を預かる高級官僚「マルムーゼ」の系譜が、第三勢力として時局に影響。ド=ラ=トレモイユ、“ランス戴冠後のシャルル七世とジャンヌを離間させようとする文官”の悪人イメージが強いが、そういう流れの人物だったのか。著者が訳した『パリの住人の日記』、凄く欲しいが高いんだよな。2019/08/11
ブルーツ・リー
3
シェークスピアを読んで、何が何だか分からなかったので、百年戦争当時の歴史を勉強しようと思い、図書館で借りて来た本。 公立図書館の本は、専門性よりも一般的な教養を伝える書が多いのだが、この本に関しては、かなり、専門性が担保されていると思う。 東大大学院を出た人が書いているから、簡単に書いている積りなんだけれど、難解になってしまいましたよ~。って話なのかも知れないが。 余りにも多くの人名や地名が出て来て、専門性も高く、初級者向けにはできていないと思うから、次はもうちょっと、一般教養くらいの本に当たってみたい。2021/06/01
にゃんにゃんこ
1
面白さ402020/11/30