出版社内容情報
冨原 眞弓[トミハラ マユミ]
著・文・その他
目次
1 少女・青年期
2 激動の三〇年代
3 さいごの日々
4 思索の収穫
5 民間伝承の研究
6 名前のない信仰
著者等紹介
冨原眞弓[トミハラマユミ]
1954(昭和29)年生。哲学博士(パリ・ソルボンヌ大学)。聖心女子大学哲学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュリ(村上)
4
ヴェイユの生涯と思想を概観したくて購入。キリスト教寄りの左翼思想を展開した夭逝の思想家というイメージしかなかったが、本書で、彼女が大変優秀なエリートであったことや、不器用だったこと、体力がないにも拘わらず自ら重労働を行ったことなど初めて知った。 本書によればヴェイユの思想は神秘主義とは全く別物とのことであるが、やはり私としては神秘主義の一種であると思う。一方で、主体的に選択•決断し責任を引き受ける、というまさに実存主義的な側面も導出される点が興味深い。2020/05/12
ア
3
『自由と社会的抑圧』を読んだときは「なんか難しくてあんまりわからんけど、若いときにこんなん書けるんすごいし、なんか良いな」程度だったが、この本のおかげでようやくヴェイユ像がなんとなくわかった。大学教員を辞めての工場労働やスペイン内戦への従軍を踏まえて示された「奴隷」「不幸」「注意力」といった概念は、現代でも考察すべき価値がある。本書後半部の民話読解やキリスト教信仰については、私の理解(関心)不足もあり、よくわからなかった。2021/03/07
すい🕊️
1
『重力と恩寵』を衝動買いしたものの積んでいたので、助走するためにまずこの本からと軽い気持ちで手に取ったら凄かった。哲学の先生からとつぜん工場で働いたり義勇兵になったりと、とにかく驚かされます。34年という決して長くはない生涯、けれどとにかく濃密で圧倒されました。コンパクトな一冊ですがよくまとまっていて、数多く遺されたテクストを読んでみたくなりました。まずは積んでた本から2024/04/30
la_mort_heureus
0
「戦争の中枢をなす力は本質的に正義とは無関係である。力は善悪とは全く無縁のメカニズムに従う。〈正義の戦争〉という表現自体が形容矛盾である」「人間の悲惨さを身にしみて感じることは、正義と愛の条件である。〈不幸〉の洗礼をうけていない多くの魂にとって、正義や愛は抽象的な理念または情緒的な感傷の域を出ない」「キリストの不幸によって、全ての不幸は一つの意味を見出し、もし望みさえするならば、贖罪の効能をもつようになる。そのとき不幸は神にのみ由来する無限の価値を得る」「愛とは相手に完全な自由と自律を認めることだ」2022/10/20