出版社内容情報
井桁 貞義[イゲタ サダヨシ]
著・文・その他
目次
1 デビューまで
2 『貧しき人々』―“テクストの出会い”と“出会いのテクスト”
3 “ユートピア”の探求
4 『地下室の手記』―“アンチ‐ヒーロー”による“反物語”
5 宗教生活
6 『罪と罰』―再構築と破壊
7 カタログ式西欧旅行案内
8 『悪霊』―レールモントフとニーチェを結ぶもの
9 ジャーナリスト‐ドストエフスキイ
10 『カラマーゾフの兄弟』―修道僧と“聖なる愚者”たち
著者等紹介
井桁貞義[イゲタサダヨシ]
1948(昭和23)年神奈川県に生まれる。早稲田大学大学院博士課程修了。現在、早稲田大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みのくま
6
ロシアは日本と同様にヨーロッパの近代化とキリスト教を遅れて受容するが、そこに大きなズレが生じている。そのズレこそがロシアのオリジナリティであり、ドストエフスキイは執拗にそれを描こうとする。この構造はまさに近代日本文学の黎明期と同じである。また、ドストエフスキイの創作の下敷きになっている聖書(特にヨハネの黙示録)は、彼の時代にロシア語訳が初めて出版されたらしい。そして彼の視界には多くのヨーロッパの文学者たちが捉えられていた。この視野の広さと創作への意志をまず理解しないと、彼の作品は一ミリも理解できないだろう2021/12/19