Century Books 人と思想 167
アルベール=カミュ

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  • サイズ B6判/ページ数 231p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784389411671
  • NDC分類 950.28
  • Cコード C1310

出版社内容情報

内容紹介
私たちは自分を超えた盲目的な力によって制約を課され,場合によっては生死の鍵すら握られていると感じることはないだろうか。カミュはこのような不条理を直視し,明晰に理解しようと努めることをやめなかった。誠実なモラリストであるカミュは,己の言葉と現実とのずれに虚偽を見いだし,そのような人間本性の深淵に潜む自我と権力欲にもスポットライトを当て,これに芸術作品という普遍的な形を与えようとした。本書では,多角的な視点からカミュの生涯と作品に切り込み,現代人としてカミュを読むことの意味とその魅力を探る。

目次(内容と構成)
Ⅰ 生い立ちの光と影
 一 浮草のような生まれ
 二 学校時代
 三 出会いと決意
 四 生と自然の充溢
Ⅱ 文化活動とジャーナリズム
 一 孤独と世界の調和
 二 天職を求めて
 三 新聞記者カミュ
 四 奇妙な戦争の静けさの中へ
 五 孤立と連帯
Ⅲ たたかう市民から栄光の作家へ
 一 占領時代
 二 パリ解放と戦争の禍根
 三 作家カミュの名声と文明批判
 四 『ペスト』の成功
Ⅳ 《反抗的人間》と論争
 一 反抗論の胚胎
 二 ムルソ的反抗
 三 反抗的人間
Ⅴ 悩めるカミュ
 一 『反抗的人間』の反響
 二 伴走と離反
 三 アルジェリア戦争
Ⅵ 『転落』
 一 沈黙と言葉
 二 『転落』の意義
 三 二重性の意識
 四 原罪と審判
 五 『尼僧への鎮魂歌』
Ⅶ 『追放と王国』
 一 中編小説集『追放と王国』
 二 「不貞」
 三 「背教者」
 四 「?者」と「ヨナ」
 五 「客」
 六 「生まれ出ずる石」
 七 ノーベル賞と『最初の人間』
あとがき
年譜
引用・参照文献/和文参考文献
さくいん

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kthyk

18
カミュはよく読むが、感想は難しい。しかし、この書は有り難い、理論書ではなく、的確な解説書。作品と生涯を並行させ、絡み合い、解りやすく、じっくりと腹に収まる。沈黙と言葉、反抗と不条理が彼のテーマであり、サルトルとの論争は有名だが保守・革新とは無関係。彼のポイントはドイツ的観念論でも唯物論でもなく、地中海的形而上学にあり、もはや理性で言葉が届かなくなった人間と世界への苛立ちにある。不条理であると言うことは、もはやこの世界が理性を超えているという事態と、人間の深奥で鳴る明晰さへの欲求が対峙しているところにある。2022/03/20

nbhd

13
たしか、シーシュポスの神話から…「この世界それ自体は、理性では量れないものであり、世界について言いうるのはこのことだけだ。しかし、この世界が理性を超えているという事態と、人間の深奥で鳴りひびいている明晰さへの狂おしいまでの欲求とが対峙している場合、これは不条理だということになる。不条理は人間と世界との両方に同時にかかわるものなのだ。目下のところ、不条理は、人間と世界とをつなぐ唯一のきずなである。共有する憎悪だけが人間同士を釘づけに結びあわせるのと同じように、不条理は世界と人間とを膠着させていく。」2018/07/07

アリョーシャ

3
カミュは好きな作家の一人だ。彼の考え方を知ろうと思って「シーシュポスの神話」を読みかけたことがあったが、難解さに結局は挫折してしまった。この本では、カミュの人生を辿りながら、生き様や考え方、それらを方向付けた体験などが、作家の文章を差し挟みながら語られる。「ペスト」で「一切の悪は無知から生まれる」と語ったカミュのことは、本質的にまじめでまっすぐな人間だと思っていたが、その考えは、今回の読書によって裏付けられたと思う。2015/10/21

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

3
サルトルとの論争について調べるため、カミュを読む前に、取り敢えず読んでみる。驚くべきことは、ウィキペディアの「アルベール・カミュ」の記事がこの本の完璧な要約になっていること。みると、参考文献がこの本だった。ただし、ウィキの面白いところは、著者のリンクが美術史家の「井上正」になっていること。(12/29日現在)カミュの思想は論争然り、割と普遍的なテーマだと思うので、カミュを読みつつ、論争に目を配りつつ、マンハイムあたりを読み返してみようと思う。2014/12/29

でええええ

0
異邦人を読んでその思想を知りたくなり手に取った。思想に関しては退廃的ではなく受け入れ易かった。とはいえ正直掴みづらいとも感じたのだが、若くして不良の事故で亡くなったことからしてもその思想をはっきりとした形にできなかったのではないかと思うと大変残念に感じる。またアルジェリア紛争のところでは今のテロ事件と重なり胸が苦しくなった。誰が人を裁くのか、今の世界情勢の中で何が善で悪かなどという議題については私は歴史に触れる度に頭を抱えて口をつぐんでしまうのだ…。2015/11/15

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