内容説明
本書では、ともすれば消極的になるツェラーン読解を反転させ、肯定的・積極的な面を解明する姿勢を貫こうとする。
目次
1 詩人となるまで―パウル=アンチェル(故郷ブコヴィナ;幼少時代;大学時代;迫害の嵐 ほか)
2 詩人として―パウル・ツェラーン(死をめぐって;回帰する時間;深淵への下降;「水」との出会い ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
7
ある種の人は、否応なく虚無や死へ惹かれる。精神病者に溢れる現代日本にも無縁ではない、いやむしろありふれた現象だが、ルーマニア生まれのユダヤ人詩人ツェラーンの場合には別種の深刻さがある。ホロコーストを通じて家族と多くの同胞を奪われ、現実の世界で漏らされた無数の"呻き"を聞き取り、言葉に宿らせた彼の作品は平易でない。人間そのものへのアンビヴァレントな感情とそれでも自己の言葉を信じ、詩的表現を通じることで生きのびたが、詩人本人はけっきょくは精神を病み7年間の闘病の末50歳でセーヌ川で入水自殺した。その一解読書。2018/05/05
かずぼう
0
恩師の森先生の著作であるので、一読。 内容が濃い。2020/10/16