内容説明
仕留めた獲物に感謝し、肉と繋がり、自然と繋がり、生命を繋ぐ。かつて当たり前だった食生活とその哲学はどこに消えたのか?ある女性環境ジャーナリストが、自ら撃ち、釣り、屠り、味わった2年間の驚くべき“肉食”体験記。
目次
真珠―貝および甲殻類
初心者マクナブ選手―ブラウントラウト、モリバト、ノロジカ
ミニオンズ―養豚場と初めての屠畜場
ヘンリー―羊飼い体験と羊のハンティング
反抗期のティーンエイジャー―子牛屠畜場の変革と現実
大人たち―英国マクドナルドと自閉症の天才動物行動学者
豚たち―ガラス張りの工場式農場とわたしたちの屠畜祭
イシュマエル―イスラム教徒用のハラル屠畜
コリン―工場式養鶏と平飼いの鶏
狩猟鳥類―食べるためのキジ猟〔ほか〕
著者等紹介
グレイ,ルイーズ[グレイ,ルイーズ] [Gray,Louise]
スコットランド出身。英国通信社PAを経て、「デイリー・テレグラフ」紙で環境問題担当記者を5年間務め、国連の気候変動会議を取材したり、パラグアイで遺伝子操作作物問題をスクープするなどした。2013年にフリーのジャーナリストとなり、BBC、「ガーディアン」紙、「サンデー・タイムズ」紙などに活躍の場を広げている。環境問題に精通し、討論会や講演会にも多数参加(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばまり
54
筆者の体験と思索を追体験できる良い本。思うところあり昨秋から肉食を減らしている。今後完璧に止めることはないと思うが、もはや仲間との外食時で十分だ。現在の日本ではまだ難しいかもしれないが、できれば倫理的に納得した肉や乳製品、鶏卵を入手したい。2020/01/08
たまきら
37
自分の屠った肉を食す、という著者の姿勢から、いかに現在の消費生活から主体性が欠けているかに気づきました。私たちは大きな消費システムのおしまいに位置する部品でしかありません。著者が最後にまとめているように、大規模展開は限界を超えると人も家畜も機械になるー消費者も同じです。著者は2年に及ぶ食肉の体験後、徐々に野菜主体のダイエットに移行しているようですが、自分ならどうするでしょう…。昨日は売れ残ったブリを照り焼きにしたら娘がすごい食いつきでした。捨てるより食べたい。ちょっと消極的な肉食・それが我が家みたいです。2021/04/09
くさてる
19
普段は菜食主義を通し、肉は自分で殺してさばいたものだけを食べる生活に挑戦した著者の記録。いつも思うのだけど、食物としてとらえたとき、動物と植物に差をつける感覚がわたしにはうまく飲みこめない。しかし著者が問題とするのはそのあたりではなく、あくまで地球環境を考えた上での倫理的食肉という感じで、そこらへんは共感しにくかった。なんというか、どんなに著者が真剣でも、しょせんは余裕のある人の道楽という感じがしてしまうのだ。本来、肉を食べるということはそれだけの贅沢だったのかもしれないのだけど。2018/03/14
tom
13
牛であれ豚であれ鶏であれ、養殖肉を喰うのは悪だ。食うなら自分で殺したものを喰うという思想から、それを実践し、かつ養殖肉の来歴を探るため、さまざまな施設を見学しましたという本。奇妙な熱意、奇妙な執着心。著者の出自はイギリスだけど、イギリスには、こういう熱意の人がたくさんいるのだなあと感心した次第。お疲れ本でした。2018/03/05
アヴォカド
13
1年間、自分で殺した動物の肉だけを食べて暮らすという決意。ハンティングだけでなく、釣り、ロードキル…なんとも根性のいる食生活であるが、それに果敢に挑む。そして養豚場や屠畜場を見学しての衝撃と敬意。自分のため環境のため動物のため納得のいくものを口にするには、ヴィーガンか、ヴェジタリアンか、はたまた倫理的肉食者か。。。自分の口に入るものの経緯が見えなくなっている現代、ここまで根性を据えて意識的に取り組まないと納得することは出来ないのか。クリアは難しいにしろ、問題はかなり明らかになったのではないだろうか。2018/02/16