内容説明
1901年生まれの長命はユダヤ系哲学者カール・ポパーは、「現代哲学者叢書」にもとりあげられ、ゾニング賞・カタルーニャ国際賞受賞に輝く、現代ヨーロッパ文明のすぐれた貢献者である。生誕80年、85年を記念して二つの記念論文集が出版され、またポパー自身の草稿も次々と公刊され、ようやくその全体像が明らかになってきた。物理学・生物学・心理学・論理学などの各領域をふまえての視野の広さに現代哲学の健全さの一端をうかがいうるであろう。
目次
イギリス定住までの歩み―思想を育んだ時代背景
科学の論理―「科学とは何か」を求めて
歴史法則主義―マルキシズムへの反旗
開かれた社会―先哲たちの犯した誤ち
三つの世界―相互に関わりあうもの
自己―「人間」その創造的なもの
マルクス主義者の応答―ポペーへのアンチテーゼ
現代社会に生きる「人間」―ポパーが探りつづけるもの