内容説明
「一人にして数世紀なり。」かつて逍遙が他の巨匠に与えたこの賛辞は、むしろ逍遙自らに冠してこそふさわしい。近代日本の黎明期に産ぶ声をあげた彼は、その鋭敏な感覚で、すばやく時代の方向をキャッチし、明治・大正・昭和の三代を通じて、あるいは小説に、評論に、演劇・無踏劇改良に、そして教育の道にも、翻訳にも、常に先駆者として時代をリードし、新しい道を切り開いていったのだった。彼がその思い出多い少年の日々を、朝に夕に遊びたわむれた故郷「太田」の木曽の流れが、昔に変わらず悠々千古の夢を流しているように、彼の業績もまた、永遠に輝いているであろう。この偉大なる先覚者坪内逍遙の、汲めどもつきぬ内容豊かな人生ドラマをふり返り、その業績を偲ぶことは、きわめて意義深いことではあるまいか。
目次
第1編 坪内逍遙の生涯(故郷とその幼年時代;少年時代;青年時代;小説の革新;「早稲田文学」のころ ほか)
第2編 作品と解説(当世書生気質;細君;桐一葉;新曲浦島;役の行者 ほか)
著者等紹介
福田清人[フクダキヨト]
1904(明治37)年長崎に生まれる。1927年東京帝国大学文学部国文科卒。立教大学教授をへて、実践女子大学教授、日本近代文学館常任理事を歴任。1995年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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