内容説明
私は今まで何をしてきたのだろう……。画家を志し、札幌を出てから八年。芸大に学び、日展にも入選したが、二十六歳の今、萌美は描くものを見失い、スランプに陥っていた。私立の美大で講師をしてみないかという恩師の勧めも、萌美にとっては画家への夢を絶ち切る宣告のように響いた。諦めにも似た気持で教壇に立った萌美に、しかし、激しくぶつかってくる一人の学生がいた。沢渡志信―彼の一途な情熱と鋭い感性は萌美を目覚めさせた。夢を取り戻した萌美は、同時に愛の予感を感じていた……。
私は今まで何をしてきたのだろう……。画家を志し、札幌を出てから八年。芸大に学び、日展にも入選したが、二十六歳の今、萌美は描くものを見失い、スランプに陥っていた。私立の美大で講師をしてみないかという恩師の勧めも、萌美にとっては画家への夢を絶ち切る宣告のように響いた。諦めにも似た気持で教壇に立った萌美に、しかし、激しくぶつかってくる一人の学生がいた。沢渡志信―彼の一途な情熱と鋭い感性は萌美を目覚めさせた。夢を取り戻した萌美は、同時に愛の予感を感じていた……。